1.自然科学研究機構生理学研究所点検評価規則
平成16年4月1日
生研規則第3号
最終改正 平成19年3月30日
(目的)
第1条 この規則は,自然科学研究機構生理学研究所(以下「研究所」という。)の設置目的及び社会的使命を達成するため,研究所の運営,研究及び教育等の状況につ
いて自己点検・評価及び外部の者による評価(以下「外部評価」という。)を行い,もって研究所の活性化を図り,中期計画及び年度計画に反映させることを目的とする。
(点検評価委員会)
第2条 研究所に,前条の目的を達成するため生理学研究所点検評価委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は,次に掲げる者をもって組織する。
一 副所長3 前項第7号の委員の任期は,2年とし,再任を妨げない。
二 研究総主幹
三 主幹
四 研究施設の長
五 研究所運営会議の所外委員 4名
六 研究所の技術課長
七 その他委員会が必要と認めた者
(委員長)
第3条 委員会に委員長を置き,研究総主幹をもって充てる。
2 委員長に事故があるときは,副所長がその職務を代行する。
(招集)
第4条 委員会は,委員長が招集し,その議長となる。
(点検評価委員会の任務)
第5条 委員会は,次に掲げる事項について企画,検討及び実施する。
一 自己点検・評価及び外部評価の基本方針に関すること。
二 自己点検・評価及び外部評価の実施に関すること。
三 自己点検・評価報告書及び外部評価報告書の作成及び公表に関すること。
四 中期計画及び年度計画に関すること。
五 独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う評価に係る諸事業への対応に関すること。
六 その他自己点検・評価及び外部評価に関すること。
(点検評価事項)
第6条 委員会は,次の各号に掲げる事項について点検評価を行うものとする。
一 研究所の在り方,目標及び将来計画に関すること。2 前項各号に掲げる事項に係る具体的な点検評価項目は,委員会が別に定める。
二 研究目標及び研究活動に関すること。
三 研究所の運営に関すること。
四 大学その他研究機関等との共同研究体制に関すること。
五 大学院教育協力及び研究者の養成等教育に関すること。
六 研究組織及び研究施設に関すること。
七 研究支援体制に関すること。
八 事務処理体制に関すること。
九 施設・設備及び研究環境に関すること。
十 国際研究交流に関すること。
十一 学術団体との連携に関すること。
十二 社会との連携に関すること。
十三 管理運営に関すること。
十四 研究成果等の公開及び公表に関すること。
十五 点検評価体制に関すること。
十六 その他委員会が必要と認める事項
(専門委員会)
第7条 委員会に,専門的事項について調査させるため,必要に応じて専門委員会を置くことができる。
2 専門委員会の組織等については,委員会が別に定める。
(点検評価の実施)
第8条 自己点検・評価又は外部評価は,毎年度実施する。
(点検評価結果への公表)
第9条 研究所長は,委員会が取りまとめた点検評価の結果を,原則として公表する。ただし,個人情報に係る事項,その他委員会において公表することが適当でないと認めた事項については,この限りではない。
(点検評価結果の対応)
第10条 研究所長は,委員会が行った点検評価の結果に基づき,改善が必要と認められるものについては,その改善に努めるものとする。
(庶務)
第11条 委員会の庶務は,岡崎統合事務センター総務部総務課において処理する。
(雑則)
第12条 この規則に定めるもののほか,委員会の運営に関し必要な事項は,委員会の議を経て研究所長が定める。
附 則 この規則は,16年4月1日から施行する。
附 則 この規則は,17年3月18日から施行する。
附 則 この規則は,19年4月1日から施行する。
2. 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 年度計画(平成19年度) 抜粋
全文は、自然科学研究機構ウェブサイトの掲載。 http://www.nins.jp/pdf/h19keikaku.pdf
I 研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 研究に関する目標を達成するための措置
(1)研究水準及び研究の成果等に関する目標を達成するための措置 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(以下「本機構」という。)は、天文学、物質科学、エネルギー科学、生命科学等(以下「各分野」という。)、自然科学分野における研究所等(本機構が設置する大学共同利用機関をいう。以下同じ。)の役割と機能を一層充実させる。
また、各分野間の連携を積極的に行い、学際的・国際的研究拠点形成を目指す。 研究所等で得られた研究成果を、国内外の学会等において積極的に公表をする。
研究所等に置かれた運営会議は、共同研究計画に関する事項、研究者人事等に関する事項、組織の改編に関する事項及びその他研究所等に関する重要事項で研究所長等が必要とする事項について諮問を受け、答申する。
各分野において研究の進展、公表の状況、研究者等の大学や研究機関との交流の状況等をまとめ、研究水準・成果の検証を行うため、外部委員を含む委員会で自己点検を行う。
各分野の特記事項を以下に示す。
(中略)
(生理学研究所) 分子生物学、細胞生理学、生物物理学、神経解剖学、神経生理学、神経発生学、感覚情報生理学、認知行動学、病態生理学等広範な生理学分野及び関連分野において、ヒト及び動物の生体の機能とメカニズムを解明するため、共同研究を含む世界的に高水準な研究基盤を発展強化する。
① 機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)や脳磁計等の脳イメージング技術を用いて、ヒト・霊長類の高次脳機能の解明に取り組む。障害時の代償機構や社会能力の発達に関する研究を進める。
② 位相差電子顕微鏡、質量顕微鏡等の超分子機能解析技術の向上を図る。バイオ分子センサーの超分子的メカニズムの研究を推進する。
③ 恒常性維持あるいは病態の基礎・原因となる分子・細胞メカニズムの基盤的研究を進め、発達、病態におけるこれら分子群の生理学的意義に関する研究を進める。
④ 大脳皮質、大脳基底核、視床等における神経回路の機能、グリアの働き等を、多面的に解析する。脱髄、てんかん等の神経疾患モデル動物の病態解析を進める。
(中略)
(2)研究実施体制等の整備に関する目標を達成するための措置
①本機構の研究連携委員会及び研究連携室において、研究所等間の研究連携並びに研究交流の促進を図る。また、研究連携室の主導で、機構内分野間の連携による新分野形成に向けた活動を実施するとともに、これまでの進展状況の検証を行い、さらなる活動の強化を図る。
②知的財産委員会及び利益相反委員会において、知的財産の創出・取得・管理・活用を積極的に行うためのシステムの整備を行う。
③ 各研究所等は、自己点検、外部評価を実施し、研究の質の向上に努める。
④各研究所等は、ポストドクトラル・フェローシップを維持して、引き続き若手研究者の育成に努める。
⑤他研究機関、大学、企業との研究者交流等の促進のため、分野間連携に係るシンポジウム等、引き続き広く開放された研究会等を企画・実施する。
⑥各分野間連携の進展を目指して、岡崎統合バイオサイエンスセンターでは、膜蛋白質・生命環境等を統合的に捉えるバイオサイエンス研究を発展させ、研究所等間及び他研究機関との研究連携を引き続き強化する。
各分野の特記事項を以下に示す。
(中略)(生理学研究所)① 新領域開拓を目指す討論の場として生理学研究所研究会等を開催する。顕著な成果をあげた若手研究者に、研究推進のための支援を行う。
② 発展が期待される研究テーマを、広く公募して一般共同研究として設定するとともに、重要と考えられる領域には計画共同研究を設定する。「バイオ分子センサー」事業を強力に推進し、その成果を発信する。
③ 新たな研究領域の開拓を検討するために、企画立案委員会(仮称)を設置する。行動・代謝分子解析センターの充実のため、新たに行動様式解析室を設置する。
(中略)2 共同利用等に関する目標を達成するための措置
(1)共同利用等の内容・水準に関する目標を達成するための措置① 引き続き、共同利用・共同研究(以下「共同利用等」という。)の内容や水準を向上させるための基本的方策(募集の内容、周知の方法、フィードバックシステムを含む)を策定し、具体的運営に関して、運営会議に諮りつつ推進する。
② 大型の装置や施設を活用した共同利用等を推進する。また、共同研究の相手方機関の設備・研究環境も活用できるよう、必要に応じて本機構研究者を派遣する等、双方向性のある研究体制の整備を更に進め、実施する。
③ 共同利用公募に関して、必要分野ごとの審査委員会の審査によりテーマを採択する。共同利用等の運用全般について外部委員を含む委員会で、検証し運用に反映させる。
④ 国際戦略本部及び各研究所等において、各分野の国際的窓口機能を向上させ、国際共同研究及び国際協定に基づいた様々な研究活動の積極的な展開を図るとともに、成果の分析等によって、国際協力活動を強化する。
⑤ 共同利用等の実施、募集、成果等について、ホームページ等を通じて情報公開を積極的に行い、新たな利用者や研究者の発掘に努め、利用者の便宜を更に図る。
⑥ 情報ネットワーク等インフラストラクチャーの改善を行い、引き続き共同利用等の環境整備を行う。また、分子科学研究所においては、化学系研究設備有効活用ネットワークの各地域拠点・全国拠点の組織化に向けた活動を行う。
⑦ 各分野の研究者コミュニティの参画を得て、引き続き利用者の要望を一層取り入れた共同利用等の計画の具体的検討を行う。
⑧ 分野間連携における学際的・国際的研究拠点の形成に向けた共同利用等を、引き続き実施するとともに、国内外との共同利用等を通じて学際的な研究を推進する。
⑨ 引き続き、高度な実験装置・観測装置の開発整備、増強、改良を進め、共同利用等に提供する。
各分野の特記事項を以下に示す。
(中略)(生理学研究所)① 明大寺地区の地下動物飼養保管施設のSPF化(Specific Pathogen Free;特定病原体不在)を完了する。
② 計画共同研究の一環としてトランスジェニックラット、遺伝子ノックアウトマウスを作製する。新しいノックアウトラットの作製法等の技術開発を行う。
③ ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBR)「ニホンザル」を強力に推進するために、新たにNBR推進室(仮称)を設置する。また、実務体制を強化し、ニホンザルの供給事業を本格化させる。
(中略)(2)共同利用等の実施体制等に関する目標を達成するための措置
本機構全体として、活発な共同利用等の実施体制に関して以下のような措置をする。
① 共同利用等に供するための機器開発を行える環境を引き続き整備し、大学・学会等と広く協力して、共同利用等の計画の採択、実施体制の検討を行うために、外部委員を含んだ委員会において、資源配分の公平性と透明性の向上を図る。
② 共同利用等の計画の採択の際に萌芽的研究の推進の観点も充分考慮する。
③ 共同利用等の成果は、学術雑誌、出版物、ホームページ等の多様なメディアを活用して公表する。
④ 引き続き共同利用等の外部評価を行うとともに、その結果について、今後の運用に反映させる。
⑤ 技術職員の技術力向上のため、引き続き研修等の充実を図る。
⑥ 特別共同利用研究員等若手研究者に対する研究支援を強化する。
⑦ 共同利用者用の宿泊施設について、引き続き付帯設備等の充実を検討し利便性の向上を図る。
⑧ 国内外の共同研究者に対して実験・観測データの公開を進める。
各分野の特記事項を以下に示す。
(中略)3 教育に関する目標を達成するための措置
(1)大学院への教育協力に関する目標を達成するための措置① 総合研究大学院大学の教育に積極的に参加するなど、大学院教育を実施する。総合研究大学院大学の5年一貫制大学院教育等によって、自然科学の広い視野と知識を備えた若手研究者の育成を推進する。また、大学院教育を検討する組織を機構に設置する。
② 8専攻の教員約330名が学生170名に対し、講義、単位認定、学位授与に加えて、各種セミナーによる総合的大学院教育を行う。
③ 東京大学大学院理学系研究科、名古屋大学大学院理学研究科、同工学研究科、北海道大学大学院工学研究科等との間で、緊密な連携のもとに大学院教育を行う。
④ 各研究所等の研究教育職員は、要請に応じて特別共同利用研究員として学生を受託し、大学院教育を行う。(平成19年度は、100名程度)
⑤ 約160名の大学院生をリサーチアシスタントとして採用し、高度な研究能力を備えた研究者の育成を行う。
⑥ 大学及び総合研究大学院大学の他専攻との単位互換制度を継続する。
⑦ カウンセリングを相談窓口で実施する。
(2)人材養成に関する目標を達成するための措置
本機構は以下のように、各種ポストドクトラル・フェローシップを整備し、若手研究者の育成と流動化の促進に一層努める。
① ポストドクトラルフェローの進路先について調査する。
② ホームページなどで求人(公募)一覧を掲載するなど、広い分野から人材発掘を可能にするように取り組む。
③ 引き続き、外部資金獲得に努めるとともに、大学院生・博士号取得者の支援を充実させる。
(中略)
(生理学研究所)生理科学分野の実験技術の向上を目指し、第18回生理科学実験技術トレーニングコースを開催する。
3 大学共同利用機関法人自然科学研究機構の平成18年度に係る業務の実績に関する評価結果
2007年10月5日公表。文部科学省ウェブサイトに公開されている。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/07103010/002/004.pdf
1 全体評価
自然科学研究機構(以下「機構」という。)は、我が国の天文学、物質科学、エネルギー科学、生命科学その他の自然科学分野の中核的研究拠点として、「国立天文台」、「核融合科学研究所」、「基礎生物学研究所」、「生理学研究所」及び「分子科学研究所」の5つの大学共同利用機関(以下「機関」という。)を設置する法人である。
本機構は、各分野の国際的研究拠点であると同時に、分野間連携による学際的研究拠点及び新分野形成の国際的中核拠点としての活動を展開するために、欧米、アジア諸国等との連携を進め、自然科学の長期的発展を見通した国際共同研究組織の主体となることを目指している。
業務運営面については、外部有識者を機構の非常勤理事として招へいするとともに、経営協議会の外部委員の人数を増やしたほか、新たに外部有識者との自然科学懇談会を開催するなど、外部の意見を運営に取り入れる努力がなされた。また、各機関において、それぞれ外部評価等を実施し、評価結果を踏まえて組織の見直し等の具体的な対応が行われており、評価できる。講演会の開催や施設の常時公開、プレスリリース等の活動により、積極的な広報活動を幅広く行っていることも評価できる。
教育研究面については、各機関が、それぞれの学問分野の中核的研究拠点として、分野の特性に応じた共同利用・共同研究を推進することで、最先端の学術研究に取り組んでおり、大学共同利用機関としての役割を十分に果たしている。これらの活動については、各機関の「運営会議」に研究者コミュニティを代表する外部委員を加え、当該分野のコミュニティの意向を反映させるとともに、定期的な外部評価を行い、コミュニティとの緊張感ある関係を保っている。
機構においては、分野間連携による学際的・国際的研究拠点形成のための分野間連携プロジェクトを推進するとともに、分野間連携のテーマである「自然科学における階層と全体」や「イメージングサイエンス」に関するシンポジウムの開催により、異分野間の研究連携、研究交流の場を提供している。新領域の創成については、時間をかけて醸成されるものであり予測できるものではないが、各機関に属する若手研究者が分野を越えて交流し、自由に議論できるサロンのような場を設けることで、新分野開拓に繋がるアイディアの芽が出てくることが期待される。
機構発足後3年が経過し、異なる性格の機関が統合したメリットを活かして取り組んできた様々な試みが実を結びつつある。各機関の独自性・独創性を担保しつつ、協力できる部門の競争と協調を加速することにより、統合のメリットがより具体的な形として見えてくることが期待される。
2 項目別評価
Ⅰ業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化
①運営体制の改善②研究組織の見直し
③人事の適正化
④事務等の効率化・合理化
平成18年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
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外部有識者からなる「組織運営に関する懇談会」の審議報告書の意見を踏まえ、平成18年度から、外部有識者を非常勤理事として招へいするとともに、経営協議会の委員に外部から民間人の経営実務者を増やした。また、新たに外部有識者との自然科学懇談会を催すなど、外部の意見を運営に取り入れる体制を整え、実際に具体的な意見を踏まえた取組も行っており、評価できる。今後の更なる成果が注目される。
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国立天文台では、水沢・VERA観測所の統合やRISEプロジェクトの位置付けの変更を行い、基礎生物学研究所では、イメージングサイエンス研究領域に発生ダイナミクス客員研究部門を新設するなど、各機関において、外部評価結果等を踏まえて組織の見直しを行い、制度改革を実施している。
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核融合科学研究所では、管理部組織の改組を行い、共同利用者の利便性の向上を図るため、ユーザーズオフィスを新設し、支援サービスの窓口を一元化した。
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子育て世代の職員に対し、仕事と育児が両立できる職場環境を提供するため、岡崎地区に事業所内保育所を設置し、運用を開始した。
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機構長裁量経費を活用して若手研究者育成事業を行うとともに、新たに、機構内分野間連携事業の強化、「自然科学研究機構シンポジウム」の年2回開催等を実施した。特に、平成18年度においては、地震により損害を被った国立天文台すばる望遠鏡の緊急修理、被災した国立天文台の諸施設(石垣島、小笠原父島)の迅速な災害対策を実施することにより、共同利用・共同研究の早期再開を可能とした。
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監査体制の確立のため、機構長直属の監査室の設置を決めたことは評価できる。監事監査、会計監査人監査、内部監査が連携することにより、監査機能が充実することが期待される。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載24事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。
(2)財務内容の改善
①外部資金その他の自己収入の増加
②経費の抑制
③資産の運用管理の改善
平成18年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
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機構事務局で一元管理している資金管理について、メインバンクと交渉し、元本の安全性を確保したうえで短期的な資産運用を図り、約700万円の増収となった。また、機構としての更なる自己収入増加の観点から、平成19年度以降に長期的な資金運用を図るため「資金管理方針」の作成に着手し、元本の安全性を確保した上での効果的な資金運用を図ることとした。
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中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況を総合的に勘案したことによる。
(3)自己点検・評価及び情報提供
①評価の充実
②広報及び情報公開等の推進
平成18 年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
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各機関で自己点検と外部評価が実施されており、評価結果を受けて組織の見直しを行うなど運営への反映も適切に行われており、評価できる。また、多くの機関で国際的な外部評価も行われている。
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一般市民を対象として、科学への理解・関心を高めるとともに機構の研究活動の周知を図るため、機構外の大学・研究機関の研究者・学生も企画等に多数参画し、「自然科学研究機構シンポジウム」を開催した。また、学術の重要性を訴え、大学共同利用機関の役割についての理解を深めるための資料として、「学術研究とは?」と「大学共同利用機関って何?」を作成し、ウェブサイトに掲載するとともに全国の大学等に配布した。
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機構及び各機関において、一般市民向けのシンポジウムや公開講演会などを合計71回実施し、ウェブサイトの充実により9,690万件のアクセス件数を上げ、サイエンスコミュニケーターの養成も検討するなど、広報活動・普及活動を活発に行ったことは評価できる。今後、費用対効果の高い広報の実施が期待される。
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国立天文台に11テラバイトの観測アーカイブ、核融合科学研究所に17,000件のアーカイブ登録が行われるなど、各機関で、資料保存に努めており、独自の記録・保存データベースを構築している。将来的にも効率的なアーカイブズあるいは研究活動記録の整備シナリオを検討していくことが期待される。
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報道機関へのプレスリリースやウェブサイトを活用し、研究成果を広く社会に公開する努力を行っていることは評価できるが、機関によって取組に差がみられる。機構全体でノウハウを共有し、効果的な取組は他の機関でも取り入れることが期待される。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる
(理由)年度計画の記載12事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況を総合的に勘案したことによる。
(4)その他業務運営に関する重要事項
①施設設備の整備・活用等
②安全管理
平成18年度の実績のうち、下記の事項が注目される。
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研究施設等の耐震診断を実施し、緊急度のランクの高い施設に対しては、施設担当理事らが自ら施設を視察した上で、耐震補強年次計画を策定し、計画に基づき、耐震補強工事を実施した。
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施設マネジメント・ポリシーに基づき、施設実態調査を実施し、機構におけるキャンパス年次計画を策定するとともに、施設の有効活用を行った。また、平成18年度の施設マネジメントの取組状況を機構のウェブサイトで公表した。
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数値目標を含む「温室効果ガス排出抑制等のための実施計画」を策定し、機構の事業によって排出される温室効果ガスの削減に向けて具体的な取組に着手した。
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研究設備等の輸出管理業務の確実な実施を図り、国際的責任を果たすことを目的に、「安全保障輸出管理規程」を制定し、輸出管理の体制を整備した。
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核融合科学研究所では、全職員及び研究所で作業を行う外注業者を対象とした安全講習会の開催、研究教育職員と技術部職員を対象とした「危険予知訓練(KYT)トレーナー研修」の実施等により、さらなる安全水準の向上に努めた。
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国際的な研究拠点として、日本語を十分に理解できない外国人に対する安全衛生管理も重要である。各機関において、英文マニュアル等の整備が進みつつあるが、機構全体として、取組を徹底することが期待される。
【評定】中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる。
(理由)年度計画の記載9事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況を総合的に勘案したことによる。
Ⅱ教育研究等の質の向上の状況
評価委員会が平成18年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。
①研究水準及び研究の成果等
②研究実施体制等の整備
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分野間の連携による学際的・国際的研究拠点形成のため、国内外の研究者が参加する分野間連携プロジェクト(16件)を採択し、総額5 億1,100万円を措置した。実施した研究プロジェクトについては、プロジェクトを公正に評価し、今後のプロジェクトの実施に活用するため、外部評価者を含む報告会を開催し、研究成果等の報告を受けた。
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連携企画室において、分野間連携のテーマである「自然科学における階層と全体」及び「イメージングサイエンス」について、シンポジウムを開催し、機構内外の研究者の連携・交流を図った。
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機構内の異分野交流を促進するため、機構長裁量経費により、異なる機関に属する研究者による共同研究を募集し、優れた計画に経費を配分する「新分野領域創成型連携プロジェクト」を実施した。
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機構の設置する各機関は、それぞれの分野における中核的研究機関として、共同利用・共同研究により独創的・先端的な学術研究を推進し、大学共同利用機関としての役割を果たしている。各機関の平成18年度における成果の一例は以下のとおりである。
- 国立天文台では、すばる望遠鏡によるこれまで知られているなかで最も遠い銀河の発見、野辺山宇宙電波観測所の45m電波望遠鏡による渦巻銀河についての世界最多の電波写真集の完成、JAXAの太陽観測衛星「ひので」による太陽の精密可視光映像の取得等の実績を上げた。
- 基礎生物学研究所では、神経回路形成等に必須なチロシンリン酸化酵素Ephの機能を制御するメカニズムを世界で初めて解明し、受容体型タンパク質チロシン脱リン酸化酵素(RPTP)であるPtproの網膜における発現量や活性を人為的に変化させることによって、網膜から視蓋への視神経の投射において、視蓋上の投射部位を自在に変えることが可能であることを示した。
- 生理学研究所では、色をカテゴリー的に判断する時と細かく識別する時の神経細胞の活動を研究することにより、色覚の異なる働きが下側頭皮質の神経活動の調整により起きていることを明らかにした。
- 分子科学研究所では、分子の中にできた二つの原子波(振動波束)が衝突してすり抜けるわずか100フェムト秒程度の間だけ現れるピコメートルスケールのさざ波を可視化し、制御することに成功した。
- 核融合科学研究所では、炉心プラズマの実現に向け、電子密度が12兆個/cc で中心イオン温度6,000万度を達成するとともに、経済的な核融合炉の実現に必要なプラズマと磁場の圧力比(ベータ値)5%を我が国独自のアイディアに基づく大型ヘリカル装置で達成した。また、中心密度が1,000兆個/cc の超高密度プラズマを生成することに成功し、従来の「高温高密度」に代わる「低温超高密度」というシナリオを新たに提案した。
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分子科学研究所では、国立大学の化学系研究設備を全国規模で相互利用するためのネットワークの試行的運用を目指した準備を行った。
③共同利用等の内容・水準
④共同利用等の実施体制
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機構が設置する各機関は、全国の関連研究者の要請・要望を踏まえ、それぞれの分野の特性に応じた共同利用・共同研究を推進しており、国内外の大学・研究機関等合計504機関、共同利用・共同研究者数10,156名(国立天文台:5,738名、核融合科学研究所:1,623名、基礎生物学研究所:408名、生理学研究所:1,173名、分子科学研究所:1,214名)の利用があった。
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国立天文台では、太陽観測衛星「ひので」による観測データの共同利用を平成19年度中に開始すべく、観測結果速報システムの立ち上げ等、体制整備を進めた。
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核融合科学研究所では、双方向型共同研究の一層の拡大を図るため、双方向型共同研究推進専門部会を設置し、体制を整え、研究分野ごとに研究内容や具体的な促進方法を専門的見地から調査・検討した。
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分子科学研究所では、核磁気共鳴装置の測定技術を高めると共に測定可能な試料の範囲を大幅に拡充した。また、極端紫外光研究施設でアンジュレータを利用した分光装置を整備し、また、3.5世代技術のトップアップ運転実現のための施設整備を進めた。
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基礎生物学研究所では、新たに「モデル生物・技術開発共同利用研究」制度を設定し、公募を開始した。
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各機関の「運営会議」に研究者コミュニティを代表する外部委員を加え、当該分野のコミュニティの意向を反映させている。
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機構は、大型の研究施設・設備を共同利用に供し、大規模な研究プロジェクトを推進する機関と、専門を異にする優れた研究者間の挑戦的かつ触発的な議論を通したユニークな問題発掘の場として比較的小規模な共同研究・共同利用を推進する機関の双方を有しており、それぞれの分野のコミュニティの意向を踏まえた共同利用・共同研究を展開している。引き続き、各機関がその特性とミッションに応じた共同利用・共同研究により国内外の研究者をひきつける最先端の研究を実施し、世界に誇れる研究成果を上げていくことで、日本全体の学術研究の発展をリードしていくことが期待される。
⑤大学院への教育協力・人材養成
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総合研究大学院大学の基盤機関として、8専攻193名の大学院学生の教育を行い、うち35名に博士の学位を授与した。また、他大学に所属する学生を特別共同利用研究員制度により99名、連携大学院制度により17名受け入れるなど、大学院教育に協力している。さらに、リサーチアシスタント204名を採用した。
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基礎生物学研究所では、従来、国内の受講生を対象としていたバイオサイエンストレーニングを国際化し、外国人にも開いたトレーニングコースを行った。
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国立天文台では、すばる望遠鏡による総合研究大学院大学の学生観測実習を初めて実施した。
⑥社会との連携、国際交流等
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機構全体で取り組む「自然科学研究機構シンポジウム」の開催をはじめ、各機関における一般向けの普及活動や地域と連携した教育活動を通じ、積極的な社会貢献を行った。国立天文台はすべての観測所の置かれた地区で、天文学や科学一般の普及のため、常時施設公開を行い、石垣島では月間約1,000名の一般参加者を得た。核融合科学研究所は核融合研究の理解を得るため地域住民向け説明会を24会場で実施した。
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知的財産や技術移転の問題に適切に対処するため、機構として、平成19年度に「知的財産室」を設置することを決定した。人材の育成も含め、効果的に機能することが期待される。
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国際戦略本部は、国際交流協定締結に関する取扱要領を策定し、機構内の国際交流協定に関する情報を一元化する体制を整備した。また、日本語が堪能な英語のネイティブスピーカーを国際アソシエイトとして機構事務局に配置し、各機関における協定締結に必要な支援を行うなど、国際的な研究機関との窓口機能を強化した。
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国立天文台では、国際協力事業として「アルマ計画」を推進している。日本担当部分の高分散相関器は、平成18年12月の国際技術審査会で高い評価を得た。