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多次元共同脳科学推進センター脳は人体の各臓器の機能を調節・統合しているため、脳機能を正しく理解することは人体の正常な機能を理解するために、そしてその病態時における異常を理解して治療に結びつけるためにも必須である。この目的を達成するためには生理学や神経科学以外にも工学や心理学など幅広い学問領域の連携とそれらの知識の統合が必要である。多次元共同脳科学推進センターではこのような多分野の全国の脳科学研究者とネットワークを組みながら、有機的に多次元的な共同研究を展開する場を提供する。 センター長 (併任)
脳科学新領域開拓研究室わが国の大学において医学・生物学・工学・物理学など多くの領域にまたがった脳科学を系統的に教える体制を整備しているところはない。科学技術創造立国を確固たるものにして欧米先進諸国と競争していくために,そのような体制の整備し将来を担う若い脳神経科学研究者を養成していくことは緊急の課題である。 異分野連携若手研究者脳科学養成プログラムにおいては,プログラム全体を統括する生理研の教授2名に本プログラム客員教授8名が加わり,世界の脳科学研究の動向を調査検討し新しい研究領域の開拓を目指すとともに,脳科学研究者養成に関わるプログラムを企画・実施する。 職 員脳内情報抽出表現研究室脳内の神経活動からそこに表現された運動制御,意思決定などの情報表現を抽出し,外部機器を制御するなどの技術をブレイン・マシン・インタフェースと呼ぶ。このような技術の開発には,多数の単一神経細胞の活動を同時記録する技術,単一神経細胞活動・皮質脳波や筋電図活動など多様な信号を同時計測したデータベースの構築,それらの信号の関係を解析し,そこに表現された情報表現を抽出するアルゴリズムの開発,結果をフィードバックすることで正確な制御を実現する戦略など多様な研究が必要であり,そのためには神経生理学,工学,計算論的神経科学,臨床医学など様々な分野の研究者の共同作業が必要でとなる。また,今後脳神経倫理の検討も必要となると考えられる。脳内情報抽出表現研究室では,このような異分野連携研究を推進し,高度なブレイン・マシン・インタフェースの実現につながる基礎的研究を推進する。 職 員霊長類脳基盤研究開発室分子生物学的な手法を神経科学に導入することにより,分子と脳機能との関係が直接的に解明され,神経科学は長足の進歩を遂げた。しかし,高次脳機能や神経疾患を研究しようとすると,ヒトに近い霊長類を用いる必要がある。そこで本室では,遺伝子導入などの分子生物学的方法を,霊長類にも応用できるよう開発し,高次脳機能や神経疾患の研究に供しようとしている。 職 員NBR事業推進室自然科学研究機構が中核機関となっているナショナルバイオリソースプロジェクト(*注)「ニホンザル」の事業推進のため,平成19年度より「NBR事業推進室」設置された。本プロジェクトは平成14年度から開始され,現在,京都大学霊長類研究所と協力して事業を推進している。 ニホンザルは優れた認知能力を持ち,高次脳機能研究に必要な動物である。本プロジェクトの目的は,このニホンザルを,病原微生物学的にも安全で,馴化の進んだ実験用動物として,国内研究者へ安定的に供給する体制を構築することである。 生理学研究所の事業推進の柱は以下の4つである。 NBR事業推進室は,事業の円滑な運営のために,参画機関や研究者コミュニティとの連携や調整,情報の集積,供給事業に関する諸手続,広報活動など,プロジェクトの実務を担当する。また,ニホンザルの生理学的,生化学的データや行動の特性,またこれまでにどのような研究に用いられてきたか等,ニホンザルに関する調査とデータベースの作成を行う。 *注)ナショナルバイオリソースプロジェクトとは,ライフサイエンス研究の基盤となる生物資源(マウス,ショウジョウバエ,メダカ,アサガオ等)について,体系的な収集,保存,提供体制の整備を目的として2002(平成14)年度に始まった国家プロジェクトです。2010年までに世界最高水準の生物遺伝資源を整備することを目標としている。 職 員 |
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