生理学研究所要覧 要覧目次へ戻る生理研ホームページへ

多次元共同脳科学推進センター

概要

脳は人体の各臓器の機能を調節・統合しているため,脳機能を正しく理解することは人体の正常な機能を理解するために,そしてその病態時における異常を理解して治療に結びつけるためにも必須である。この目的を達成するためには生理学や神経科学以外にも工学や心理学など幅広い学問領域の連携とそれらの知識の統合が必要である。多次元共同脳科学推進センターではこのような多分野の全国の脳科学研究者とネットワークを組みながら,有機的に多次元的な共同研究を展開する場を提供する。

センター長 (併任)
教 授  池 中 一 裕  IKENAKA, Kazuhiro

職  員

吉田 明 特任教授  吉 田   明  YOSHIDA, Akira
大阪大学理学部卒,同大学院理学研究科修了,理学博士。(株)三菱化学生命科学研究所特別研究員,早稲田大学人間総合研究センター助手,長崎大学大学院医歯薬学総合研究科助教授,(独)科学技術振興機構研究開発戦略センターフェローを経て,平成20年8月から生理研特任教授。
専攻:分子神経生物学。



脳科学新領域開拓研究室


わが国の大学において医学・生物学・工学・物理学など多くの領域にまたがった脳科学を系統的に教える体制を整備しているところはない。科学技術創造立国を確固たるものにして欧米先進諸国と競争していくために,そのような体制の整備し将来を担う若い脳神経科学研究者を養成していくことは緊急の課題である。

異分野連携若手研究者脳科学養成プログラムにおいては,プログラム全体を統括する生理研の教授2名に本プログラム客員教授8名が加わり,世界の脳科学研究の動向を調査検討し新しい研究領域の開拓を目指すとともに,脳科学研究者養成に関わるプログラムを企画・実施する。


職  員

井本 敬二 教 授 (併任)  井 本 敬 二  IMOTO, Keiji
京都大学医学部卒,医学博士。国立療養所宇多野病院医師,京都大学医学部助手,講師,助教授,マックス・プランク医学研究所研究員を経て,平成7年4月から生理研教授。
専攻:神経生理学。
鍋倉 淳一 教 授 (併任)  鍋 倉 淳 一  NABEKURA, Junichi
九州大学医学部卒,医学博士,東北大学医学部助手,秋田大学医学部助教授,九州大学医学研究院助教授を経て,平成15年11月から生理研教授。
専攻:神経生理学,発達生理学。
宮田 卓樹 教 授 (客員)  宮 田 卓 樹  MIYATA, Takaki
高知医科大学医学部卒,同大学院単位取得退学,医学博士。理研筑波ライフサイエンスセンター奨励研究生・奨励研究員,東大医科研教務補佐員,日本学術振興会海外特別研究員(米国コロラド大),大阪大学医学部助手,理研脳科学総合研究センター研究員を経て平成16年1月から名古屋大学医学部教授。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:神経発生。
西田 眞也 教 授 (客員)  西 田 眞 也  NISHIDA, Shin'ya
京都大学文学部卒,同大学院修了,文学博士。ATR視聴覚機構研究所奨励研究員を経て平成4年にNTTに入社。現在,コミュニケーション科学基礎研究所主幹研究員。平成18年から東京工業大学大学院連携教授,平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:視覚心理物理学。
曽良 一郎 教 授 (客員)  曽 良 一 郎  SORA, Ichiro
岡山大学医学部卒,同大学院修了,医学博士。米国国立衛生研究所(NIH)客員研究員,東京都精神医学総合研究所部門長を経て平成14年より東北大学大学院医学系研究科教授。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:精神神経生物学。
酒井 邦嘉 准教授 (客員)  酒 井 邦 嘉  SAKAI, Kuniyoshi
東京大学理学部物理学科卒業,理学博士。東京大学医学部第一生理学教室助手,ハーバード大学医学部リサーチフェロー,マサチューセッツ工科大学客員研究員,東京大学大学院総合文化研究科助教授を経て平成19年4月から東京大学大学院総合文化研究科准教授。平成20年8月から生理研客員准教授。
専攻:言語脳科学。
銅谷 賢治 教 授 (客員)  銅 谷 賢 治  DOYA, Kenji
東京大学工学部卒,同大学院修了,博士(工学)。UCSD生物学科客員研究員,Salk Institute研究員,ATR人間情報通信研究所主任研究員,JST ERATO川人プロジェクトグループリーダー,JST CREST「脳を創る」研究代表者,ATR脳情報科学研究所室長を経て平成16年より沖縄科学技術大学院大学先行研究神経計算ユニット代表研究者。平成20年11月から生理研客員教授。
専攻:計算神経科学。
高橋 良輔 教 授 (客員)  高 橋 良 輔  TAKAHASHI, Ryosuke
京都大学医学部卒業。東京都立神経病院神経内科・医員,東京都神経科学総合研究所神経学部門・主任研究員,平成7年1月京都大学より医学博士授与。米国バーナム研究所博士研究員,理化学研究所脳科学総合研究センターチームリーダーを経て,平成17年より京都大学大学院医学研究科教授。平成20年11月から生理研客員教授。
持田 澄子 教 授 (客員)  持 田 澄 子  MOCHIDA, Sumiko
北里大学薬学部卒,東京医科大学医学博士,米国カリフォルニア州立大学医学部Postdoctoral Fellow,仏国国立科学研究機構 (CNRS) 特別研究員,東京医科大学助手,講師,助教授を経て平成13年より東京医科大学教授。平成20年12月から生理研客員教授。
専攻:神経生理学。
桃井 眞里子 教 授 (客員)  桃 井 眞里子  MOMOI, Y, Mariko
東京大学医学部卒,医学博士。フィラデルフィア小児病院リサーチフェロー,メイヨークリニックリサーチアソシエイトを経て平成6年より自治医科大学小児科学教授。平成20年12月から生理研客員教授。
専攻:小児神経学。

脳内情報抽出表現研究室


脳内の神経活動からそこに表現された運動制御,意思決定などの情報表現を抽出し,外部機器を制御するなどの技術をブレイン・マシン・インタフェースと呼ぶ。このような技術の開発には,多数の単一神経細胞の活動を同時記録する技術,単一神経細胞活動・皮質脳波や筋電図活動など多様な信号を同時計測したデータベースの構築,それらの信号の関係を解析し,そこに表現された情報表現を抽出するアルゴリズムの開発,結果をフィードバックすることで正確な制御を実現する戦略など多様な研究が必要であり,そのためには神経生理学,工学,計算論的神経科学,臨床医学など様々な分野の研究者の共同作業が必要でとなる。また,今後脳神経倫理の検討も必要となると考えられる。脳内情報抽出表現研究室では,このような異分野連携研究を推進し,高度なブレイン・マシン・インタフェースの実現につながる基礎的研究を推進する。


職  員

伊佐 正 教 授 (併任)  伊 佐   正  ISA, Tadashi
東京大学医学部卒,同医学系研究科修了,医学博士。スウエーデン王国イェテボリ大学客員研究員,東京大学医学部助手,群馬大学医学部助教授を経て平成8年1月から生理研教授。
専攻:神経生理学。
川人 光男 教 授 (客員)  川 人 光 男  KAWATO, Mitsuo
東京大学理学部卒,大阪大学大学院基礎工学研究科修了,工学博士。同大学助手,講師, ATR視聴覚機構研究所主任研究員を経て,平成15年にATR脳情報研究所所長,平成16年ATRフェロー。
専攻:計算論的神経科学。
横井 浩史 准教授(客員)  横 井 浩 史  YOKOI, Hirofumi
北海道大学工学部卒。同大学院工学研究科修了, 工学博士。トヨタ自動車株式会社, 通商産業省工業技術院生命研究所技官研究職2級, 北海道大学大学院工学研究科助教授を経て, 平成16年4月より東京大学大学院工学系研究科助教授(現准教授)。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:精密工学。
北澤 茂 教 授 (客員)  北 澤   茂  KITAZAWA, Shigeru
東京大学医学部卒,同大学院修了,医学博士。東京大学助手,電子技術総合研究所主任研究官,産業技術総合研究所主任研究員を経て順天堂大学教授。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:神経生理学。
佐倉 統 教 授(客員)  佐 倉   統  SAKURA, Osamu
東京大学文学部心理学科卒,京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。三菱化成生命科学研究所,横浜国立大学経営学部,フライブルク大学情報社会研究所を経て,現在,東京大学大学院情報学環教授。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:科学技術論,進化生物学。
加藤 天美 教 授(客員)  加 藤 天 美  KATO, Amami
大阪大学医学部卒,同大学院修了,博士(医学)。カナダ,モントリオール神経研究所客員研究員,大阪大学助手,大阪労災病院脳神経外科部長,大阪大学助教授を経て平成17年4月近畿大学医学部教授。平成20年10月から生理研客員教授。
専攻:脳神経外科。

霊長類脳基盤研究開発室


分子生物学的な手法を神経科学に導入することにより,分子と脳機能との関係が直接的に解明され,神経科学は長足の進歩を遂げた。しかし,高次脳機能や神経疾患を研究しようとすると,ヒトに近い霊長類を用いる必要がある。そこで本室では,遺伝子導入などの分子生物学的方法を,霊長類にも応用できるよう開発し,高次脳機能や神経疾患の研究に供しようとしている。


職  員

南部 篤 教 授 (併任)  南 部   篤  NAMBU, Atsushi
京都大学医学部卒,医学博士。京都大学医学部助手,米国ニューヨーク大学医学部博士研究員,生理学研究所助教授,東京都神経科学総合研究所副参事研究員を経て,平成14年11月から生理研教授。
専攻:神経生理学。
山森 哲雄 教 授 (併任)  山 森 哲 雄  YAMAMORI, Tetsuo
京都大学理学部卒,京都大学理学部博士課程修了,理学博士。コロラド大学研究員,カリフォルニア工科大学研究員,理化学研究所フロンティア研究員を経て,基礎生物学研究所教授。平成20年4月から併任。
専攻:分子生物学。
高田 昌彦 教 授 (客員)  高 田 昌 彦  TAKADA, Masahiko
広島大学歯学部卒,医学博士。京都大学大学院医学研究科生理系専攻入学,カナダ・トロント大学医学部研究員,米国テネシー大学医学部助教授,京都大学医学部講師,東京都神経科学総合研究所副参事研究員を経て,平成21年4月より京都大学霊長類研究所教授。
専攻:神経解剖学。
小林 和人 教 授 (客員)  小 林 和 人  KOBAYASHI, Kazuto
名古屋大学医学研究科博士課程修了,医学博士。日本学術振興会特別研究員,名古屋大学医学部助手,藤田保健衛生大学医学部総合医科学研究所助手,同研究所講師,奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター助教授を経て,福島県立医科大学医学部附属生体情報伝達研究所教授。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:分子神経生物学。
笹井 芳樹 教 授 (客員)  笹 井 芳 樹  SASAI, Yoshiki
京都大学医学部卒。神戸中央市民病院内科研修を経て,京都大学医学研究科博士課程修了,医学博士。UCLA医学部研究員,京都大学医学部助教授,京都大学再生医科学研究所教授を経て,2002年より理化学研究所発生・再生科学総合研究センターグループディレクター。2007年スウェーデン・ルンド大学招聘教授。平成20年8月から生理研客員教授。
専攻:神経発生学。

NBR事業推進室


自然科学研究機構が中核機関となっているナショナルバイオリソースプロジェクト(*注)「ニホンザル」の事業推進のため,平成19年度より「NBR事業推進室」設置された。本プロジェクトは平成14年度から開始され,現在,京都大学霊長類研究所と協力して事業を推進している。

ニホンザルは優れた認知能力を持ち,高次脳機能研究に必要な動物である。本プロジェクトの目的は,このニホンザルを,病原微生物学的にも安全で,馴化の進んだ実験用動物として,国内研究者へ安定的に供給する体制を構築することである。

生理学研究所の事業推進の柱は以下の4つである。
(1)研究用ニホンザルの繁殖・育成体制の整備
(2)研究用ニホンザルの供給事業の実施
(3)研究用ニホンザルの特性に関するデータ収集ととりまとめ
(4)プロジェクトの総合的推進

NBR事業推進室は,事業の円滑な運営のために,参画機関や研究者コミュニティとの連携や調整,情報の集積,供給事業に関する諸手続,広報活動など,プロジェクトの実務を担当する。また,ニホンザルの生理学的,生化学的データや行動の特性,またこれまでにどのような研究に用いられてきたか等,ニホンザルに関する調査とデータベースの作成を行う。
*注)ナショナルバイオリソースプロジェクトとは,ライフサイエンス研究の基盤となる生物資源(マウス,ショウジョウバエ,メダカ,アサガオ等)について,体系的な収集,保存,提供体制の整備を目的として2002(平成14)年度に始まった国家プロジェクトです。2010年までに世界最高水準の生物遺伝資源を整備することを目標としている。


職  員

伊佐 正 室 長(併任)  伊 佐   正  ISA, Tadashi
東京大学医学部卒,同医学系研究科修了,医学博士。スウエーデン王国イェテボリ大学客員研究員,東京大学医学部助手,群馬大学医学部助教授を経て平成8年1月から生理研教授。
専攻:神経生理学。
稲垣 晴久 特任准教授  稲 垣 晴 久  INAGAKI, Haruhisa
北海道大学獣医学部獣医学科卒。博士(理学)。(財)モンキーセンター,(株)塩野義製薬を経て,平成20年4月より現職。
専攻:実験動物学。
山根 到 専門研究職員  山 根   到  YAMANE, Itaru
京都大学農学部卒, 京都大学理学研究科
修了。博士(理学)。
専攻:神経生理学。
浜井 美弥 専門研究職員  浜 井 美 弥  HAMAI, Miya
東京大学理学部卒,東京大学理学系研究科退学。修士(理学)。(財)日本モンキーセンターを経て平成21年4月より現職。
専攻:霊長類生態学。

流動連携研究室

概要

自然科学研究機構生理学研究所は,我が国における脳科学研究の一層の推進を図ることを目的として,多次元共同脳科学推進センターに流動連携研究室を設置した。この室は大学等研究機関の研究者が,サバティカル制度等を利用した研究に挑み,次なる研究展開を図れるような機会を創造するために設置された。現在,流動連携研究室の客員教授および客員准教授を募集中である。


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