生理学研究所要覧
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共同利用実験機器


生理学研究所は,全国の国公私立大学をはじめとする他研究機関との各組織の枠を越えての共同利用研究を推進することを使命としています。そのため,大型機器や最先端計測機器,高度技術を必要とする計測システム,および4次元イメージングのための先端機器の開発・維持・管理をおこない共同利用に供与しています。



超高圧電子顕微鏡 (HVEM)
医学生物学専用に開発された超高圧電子顕微鏡 (H-1250M)です。加速電圧1,000kVで使用できる機種であり,試料室近くの真空度は7×10-6 Paです。1,000倍から100万倍までの拡大像を得ることができます。サイドエントリー試料傾斜台を用いて±60度の範囲で試料厚さ約5mmまでの傾斜像を得ることができるので,光学顕微鏡では観察不可能な超微細構造の三次元情報を得ることができます。

超高圧電子顕微鏡


磁気共鳴断層画像装置 (MRI: 3tesla)
【この装置で出来ること】
水素原子の核磁気共鳴現象を利用することにより,脳構造の詳細な画像化と共に,脳血流を介して脳の局所機能をも画像化することが出来ます。この装置によって,人間の高次脳機能の神経基盤を詳細に検討することが可能となります。

【主な設備】
3テスラ磁気共鳴装置(Allegra,シーメンス社製,平成12年度導入),視聴覚刺激提示装置,画像解析システム。

磁気共鳴断層画像装置


脳磁場(脳磁図)計測装置
【この施設でできること】
ミリ秒(msec)単位の高い時間分解能と,mm単位の高い空間分解能を兼ね備えた機器です。特に,事象関連脳磁図を解析することにより,各種刺激後,早期(0.3秒以内)の脳活動の時間的,空間的活動の解析に有用です。また,脳活動の周波数分析が可能であり,ある条件化での,脳の各部位での d波,q波,a波,b波,g波の活動の変化を解析することが可能です。これはBrain waveとも称されています。

 脳磁場(脳磁図)計測装置


極低温位相差電子顕微鏡
本電子顕微鏡は生きた生物試料を脱水,樹脂包理,染色などの試料調整なしに高分解能観察できる。装置には凍結試料をヘリーム温度近くで保持する極低温ステージ,無染色試料を可視化する位相板システムと画像ノイズ源となる非弾性散乱電子を除去するエネルギーフィルターなどが搭載されている。500nmまでの厚い凍結生物試料を高コントラストで観察でき,蛋白質,ウィルス,バクテリア,培養細胞などの生物試料の生きた状態対応の構造解析に供される。

極低温位相差電子顕微鏡


多光子励起顕微鏡
多光子励起法は超短(フェムト秒)パルスレーザーを用いて対物レンズ焦点において高光子密度のピンポイント領域を作成し,複数の光子を蛍光分子などの光感受性分子に同時にあてイメージング等に供与します。従来の1光子励起法と比較し,長波長の励起光をする等の特徴を有するため,深部到達性に優れているとともに組織侵襲性が少ないのが特徴です。現在正立顕微鏡と倒立顕微鏡それぞれ2台を用いて,神経細胞・グリア細胞・免疫細胞,および血管などの微細構造およびその活動・動態の生体内観察や,各種光感受性物質の活性化制御を行っています。生理研では世界最深部レベルの到達度を持つ2光子励起顕微鏡を構築しています。

多光子励起顕微鏡


網羅的行動テストバッテリー
計画共同研究のもと,マウス用の行動テストを実施するための各種装置を共同研究に供しています。現在,使用可能なものには,ワイア・ハング試験,握力測定試験,明暗選択試験,オープンフィールド試験,高架式十字迷路,ホットプレート試験,社会的行動測定試験,ローターロッド試験,プレパルス・インヒビション,ポーソルト強制水泳試験,ゲイト解析,8方向放射状迷路,T字型迷路,モリス水迷路,バーンズ迷路,物体再認試験,恐怖条件付け試験,受動的回避試験,尾懸垂試験, ホームケージ活動モニタリングがあり,今後も充実させていく予定です。

8方向放射状迷路/モリス水迷路


【概要】
上記のような様々な行動解析装置を用い,遺伝子改変マウスに対して網羅的行動テストバッテリーを行い,行動レベルでの表現型を解析することで,標的遺伝子の機能的役割や精神・神経疾患,発達障害などの脳の各種疾患との関係を明らかにしていくことを大きな目標としています。また,行動テストバッテリーの改良,標準化及び得られた結果のデータベース化を進めることで,統合的脳研究におけるリソースとしての役割を担っています。


近赤外線トポグラフィー
近赤外線分光法(NIRS:Near infrared spectroscopy)を用いて脳活動トポグラフィーを解析する方法である。近赤外線を使って脳の局所的な脳血流の変化をとらえ,脳の活動を画像化する。長所としては,非侵襲的であるとともに,身体の活動中でも脳活動解析ができる。そのため乳幼児の脳活動の観察にも適用可能である。生理研では大人用と子供用のプローブを設置している。ヒトにおける自由行動時における脳活動の画像化を用いた共同研究のために供する。

近赤外線トポグラフィー



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