![]() |
![]() ![]() |
|
1. 脳磁図を用いたヒト感覚・運動機能の研究宝珠山稔(名古屋大学医学部保健学科) 本研究では,ヒトの体性感覚情報処理機構を明らかにするために,体性感覚誘発脳磁場(Somatosensory evoked magnetic fields, SEF)を用いて各SEF成分のRecovery functionを測定し,第1次体性感覚野内の信号処理過程について検討した。 2. 聴覚系におけるTemporal integration機構(時間)とStream segregation機構(周波数)矢部博興(弘前大学医学部附属病院神経科精神科) 【目的】MMN (Mismatch Negativity)は,一次聴覚野近傍の感覚記憶に貯蔵された頻発音のneural traceと逸脱音との比較処理に由来する脳反応である。感覚記憶には,temporal window of integration(TWI)機構が存在し,研究代表者ら(1998)はその長さが160-170msであることを証明した。一方,Bregman(1990)が提案して注目されたAuditory scene analysisという心理行動学的概念は,TWI機構とStream Segregation(SS)機構を会話認知の基盤としている。Sussman ら(1999)によれば,HighとLow toneが交互に連続呈示された時に,100ms程度の短いSOAの時のみ,High tone系列とLow tone系列との分離(SS)が生じるという。本実験の目的は,TWIとSSのいずれが優先する機構かを明らかにする事である。【対象】健常被験者10名。【方法】High(3000Hz)とLow tone(500Hz)を連続刺激として交互に用い,稀に起こる欠落音(X)に対するMMNの有無を検討した。防磁室の壁に映写される無音映画に集中する被験者の左側耳に,連続音刺激(強度70dB)が125msの一定のSOAで呈示された。【結果および考察】従来の結果と同様に,HHHHXH..系列中のXはMMNを誘発したが,HLHLXL..系列は,誘発しなかった。TWIよりもSSが優先されるならば,HLHLXL..系列は,H系列とL系列に分離された結果,各系列のSOAが250msとなり,Xは先行音によって生じるTWIの範囲から外れ,MMNを誘発しない。反対にTWIが優先されるならば,HHHHXH..系列と同様にMMNを誘発すると考えられる。【結論】従って,Stream segregation機構は,TWI機構に優先する(Yabe et al., Brain Research (897) 222-227, 2001)。
|