![]() |
![]() ![]() |
|
技術課大庭明生 1.概要今年度の人事は,平成14年4月に高橋直樹係員を細胞器官研究系技術係,森将浩係員を統合生理技術係,鈴木千香係員を動物実験技術係にそれぞれ所属換えを行い,統合バイオサイエンスセンターの本格的な活動に合わせ,生命環境研究領域に齊藤久美子係員,時系列生命現象研究領域に高木正浩係員をそれぞれ派遣した。また分子生理研究系技術係・代替技官長谷川絵梨係員の退職(4月30日付)があった。 第2期技術部会の活動の終了にともない,第3期技術部会を8部会(エレクトロニクス工作部会,機械工作部会,凍結技法部会,バイオインフォマティクス部会,安全管理部会,科学英語会話部会,技術士・特許部会)設置した。また本年度も研究活動への貢献を一層進めるために下記の事業を引き続き実施した。 [1]生理科学実験技術トレーニングコースでの技術指導 本年度(7月22日−7月22日)も標記のコースの一項目『生理学実験のための電気回路・機械工作』を担当し,若手研究者の技術指導に当たった。今回はコースに2テーマ(1.OPアンプによる増幅器とバスチェンバー作製,2.簡易型電気泳動装置作製)を立てた。 [2]科学研究費補助金(奨励研究)申請の推進 業務を展開していくための問題意識の養成とその解決のための具体的な展開計画,方法の立案能力の養成およびそのための表現力と説明力の養成を通じ,業務上の技術力の総合的な向上を図ることを目的に行っている標記の申請は,20課題を申請し,10課題の採択を得た。 [3]第3回課題報告型技術シンポジウムの開催 研究の高度化と多様化に対応したスキル認識と向上を目指した新しい基盤に立つ研究会の立ち上げによる技術系職員の業務の社会的開示を推し進めるために科学研究費補助金(奨励研究)の採択者による第3回の報告会を開催した。 [4]成茂神経科学研究助成基金申請の推進 課員の研究支援力の強化と向上さらに組織の自立のためには活動資金の確保が今後重要な課題となる。今回標記の基金に発生工学用マニピュレーション技術研究会の開催を申請し,採択され,民間企業の技術者を含めた新規の研究会を開催した。 [5]放送大学利用による職員研修の開講 本年度も引き続き放送大学利用による専門研修を機構職員研修として行った。研修科目は『知覚心理学』と『分子生物学』である。課の研修室には放送大学受信システムを整備したので,人事課の企画以外にも課の企画による放送大学利用研修企画の整備を計画している。 [6]第3回機械工作基礎講座の実施 生理学実験に必要な機器を題材に工作技術を研修し,その研修後の作成機器が実際の研究現場で活用できることを目的に,第3回機械工作基礎講座を開講した(共通研究施設・機器研究試作室)。題材はアクリル樹脂製パッチクランプ用チェンバーである。 大学共同利用機関の法人化問題に対する技術職員による検討会は,大学共同利用機関が4法人に編成・統合されることを受け,それぞれの所属法人で検討会での合意事項(技術組織,技術職の確立,人事交流,研修)を議論,反映させていくことになった。生理学研究所は,基礎生物学研究所,分子科学研究所,核融合科学研究所,国立天文台とともに自然科学研究機構に統合される。また法人化に伴い非公務員型身分となり,労働基準法,労働組合法,労働安全衛生法下での身分,研究現場となる。そのために機構に創設準備委員会が設けられ,法人化に向けてと諸問題が議論された。特に人事制度分科会には技術職員のオブザバー参加を認められ,上記の合意事項を『就業規則』に織り込む要請をした。また研究現場が労働安全衛生規則のもとに置かれ,各種資格の修得と技能講習の受講の整備が必要となった。 生理学技術研究会は第25回を開催した。会では,口演発表が22題,ポスター発表が41題,研修講演が2題あった。これらの活動は『生理学技術研究会報告』にまとめた。また機構長招聘三技術課合同セミナーの第4回を開催した。開催テーマは『ライフサイエンスとナノテクノロジー』で4題の研修講演を行い,講演内容は『機構長招聘三技術課合同セミナー報告書』としてまとめた。
2.施設の運営状況[1]統合生理研究施設(1)生体磁気計測装置室 永田 治,竹島康行 【概要】 本年度は,全頭型生体磁気計測装置の新規設置導入を行った。現在は調整がほぼ終了し稼働状態で,装置の特性調査を含めて予備実験が行われている。 この装置はフィンランド製で,すでに臨床応用を目的として医学部病院などに採用されている装置と基本的にほぼ同型であるがチャネル数が多く,臨床用装置に装備されているプラナータイプ204chに加えてマグネトメータ102chのセンサが頭部全体をカバーする状態で配置されており一度の計測で全頭を計測することができる。またシールドルームはアクティブシールドを装備したもので,低周波特性が大幅に改善されており,外来による低周波振動の影響が少ない。刺激系は,TmYAGレーザーによる痛み刺激や液晶プロジェクタによる視覚刺激,その他音響,空気圧などによる機械的な刺激が利用できる。 同時に三次元画像処理装置もハードソフト両面から更新されており新旧両方のMEG装置によるデータが解析可能である。また使用できるMRIデータはanalyze,DAICOM,MSI-format,AVSfield-dataなどが利用できfMRIによる計測データも解析可能となっている。 これらのシステムはローカルエリアネットワークで有機的に結合されており,旧システムの解析系との情報交換もデータサーバを基幹としてシームレスに行われる。
[2]脳機能計測センター(1)形態情報解析室 山口 登 【超高圧電子顕微鏡利用状況】 今年度における超高圧電子顕微鏡共同利用実験は,合計10課題が採択され,全ての課題が実施された。これらの共同実験の成果は,超高圧電子顕微鏡共同利用実験報告の章に詳述されている。超高圧電子顕微鏡の年間の利用状況を表にまとめたので下記に示す。稼動率は,利用日数と使用可能日数より求めている。本年度の主な超高圧電子顕微鏡の改良・修理としては,フィルム送り機構,高圧電源回路の修理やカメラ室排気用ターボモレキュラーポンプの交換作業などが行われた。 2002年度 超高圧電顕月別稼動率
フィラメント点灯時間 360.9時間 使用フィルム枚数 5,034枚
(2)機能情報解析室 佐藤茂基 【概要】 今年度におけるリアルタイム装置の利用状況は,採択研究課題数3題で,全ての研究課題は実施された。 今年度の装置整備状況は,主な事項として次の通りである。11月にシムコイル用冷却器が故障した。そのまま装置を使用すると,磁場補正が安定せず画像が乱れる点や,シムコイルの破損が考えられる為,メーカーに修理を依頼した。その間およそ3週間,運用を一時休止した。 2月末にマグネット室用空調機が故障し,室内の温度調整が出来なくなった。温度調整が出来ないと測定中の実験用動物に悪影響が出ると懸念された為,早急に修理を実施した。その間1週間ほど運用を一時休止した。 平成14年度のMR装置利用実績を別表に記す。
【機器利用率】
(3)生体情報処理室 吉村伸明,村田安永 生理学研究所における中央コンピュータの利用形態は,生体情報解析システム(高機能ワークステーション+アプリケーション,高画質フルカラープリンタ等),情報サービス(e-mail,net-news,WWW等),ファイルサービス,プログラム開発及びメディア変換などに分類することができる。また,これらの利用形態を円滑に運用していくためには,所内LANの管理,整備も重要である。このような現状をふまえたうえで,中央コンピュータの整備を進めている。 生体情報解析システムは,平成15年2月に更新を行った。導入したアプリケーションは高機能ワークステーション上での利用のみならず,各部門施設のPCに直接インストールし,ライセンスサーバで認証を行うことで,PCのCPUを使った利用も可能である。登録者は63名で,研究推進のための積極的な利用がある。高画質フルカラープリンタは241枚の利用があった。 生理学研究所のネットワーク利用状況は,メール登録者が370名。WWW登録者が38名。LANの端末数が940台。所外からのメール受信数は23,000/週。所外へのメール発信数は7,000/週。WWWは一年間に13万台の端末からアクセスがあり,総アクセス数は414万回。所内向けのダイヤルアップサービスは118回/週,13時間/週の利用があった。
[3]動物実験センター佐治俊幸 小木曽昇 廣江猛 【概要】 平成13年度3月末に竣工したE地区分室も5月から稼働を開始した。引き続き研究棟,研究支援棟の建築が進行しており,2・3期に移動予定部門の飼育機器の準備を進めている。また,独立行政法人化への移行を視野に入れ改修の必要のある機器(蒸気及びガス滅菌装置等)の整備方法の検討に入った。 E地区分室増築に対しての運営経費増額が認められなかったため,運営経費の不足分を補うために受益者負担の原則にのっとり,飼料代とは別に飼育費の徴収を実施することとなった。
【A地区 陸生動物室】 平成14年度の飼育室利用部門数は,31研究部門(生理研15部門,基生研8部門,統合バイオサイエンスセンター5部門)であった。 動物飼育数の増加傾向が頭打ちの傾向を示している。これは,センター利用の減少を示すものではなく,飼育スペースの制約により,これ以上の飼育数の増加が見込めないためである。E地区への展開により,飼育スペースの拡充が図られるため,次年度以降は,飼育数増が予想される。また,抗体作製の外部委託化が進んでいることから,ウサギの飼育数が減少している。 E地区分室へ移動する飼育動物の受精卵凍結は順調に進行し,2002/1/25から始まったE地区移動用の凍結件数はのべ53件であった。 E地区分室の稼働前に長年の懸案であった,本館洗浄室の床張替工事を実施した。工事期間中は洗浄作業が行えないため,その作業がE地区洗浄室で肩代わりできる今回しか行うことが出来ないためである。更に,自動洗浄機を更新し,消毒効果も期待できる効率的な洗浄作業が行えるようになった。また,法規制の強化及び独立行政法人化を視野に入れ,EOG滅菌器の改修工事も実施した。
【AE地区 水生動物室】 平成14年度の水生動物室利用状況は,生理研・基生研両研究所あわせて6部門・施設,36件の利用があった。 加熱冷却ユニットの動作不良が4件,恒温室の制御装置及び冷媒の補充,水槽の亀裂,活性炭濾過タンクの漏水事故の修理を行った。 E地区水生動物室には,6基の恒温循環水槽とゼブラフィッシュ用水槽2基を設置し,順調に稼働している。
【E地区 動物実験センター分室】 今年度は3月末の分室完成により,4月から大型機器(オートクレーブ,ケージ洗浄機等)やそれらに関わる飼育機器や器材の導入,A地区からの実験機器や器具の引っ越しを行った。 さらに7月にはSPF区域のクリーアップ(ホルマリンガス殺菌)を実施し,8月からマウスの飼育を開始した。そこで,A地区で凍結した受精卵を融解・移植または移植をした件数は,のべ21件であり,これらすべてをSPF化することができた。また,A地区マウス検疫室のマウスのクリーン化を9件行った。 利用部門数は5研究部門(機構1施設,生理研1部門,統合バイオサイエンスセンター3部門)であり,9月には利用者全てに利用講習会を,また陸生動物利用者に対して実務講習会を行った。 マウスのSPF化により系統維持動物の繁殖・実験の使用までに期間を要することから,動物飼育数は緩やかに増加傾向を示している。 SPF区域で飼育中のマウスについては,10月,12月,平成15年2月と微生物モニタリング定期検査を行い,病原性微生物は発見されなかった。
[4]共通施設(1)電子顕微鏡室 前橋 寛 (A)電子顕微鏡室の状況 今年度は,今まで,日本電子JEM-1200EX型透過型電子顕微鏡2台と日立S-800型走査型電子顕微鏡の合計3台の保守契約を行っていたが,利用者数,利用率が高まった為,日本電子JEM-1010型(2000年2月,東京大学医学部より移設)の透過型電子顕微鏡の保守契約も開始し,計4台の保守契約を行った。
(B)研究内容一覧表 本年度,室を利用してなされた研究の総件数は55件であった。機構内では43件あり,機構外は,国内で7件,国外ではイギリス,スペイン,ドイツ,中国,ハンガリーの研究者による利用が5件あった。下記の表はその研究部門・施設,大学,研究所と研究内容の一覧表である。 利用内容一覧表 二研究所
所外(国内)
所外(国外)
(2)機器研究試作室 加藤勝巳 【概要】 機器研究試作室は多種多様な医学・生物学用実験機器の開発と改良,それに関わる技術指導,技術相談を室の役割としている。今,我々の周りには便利な物品があふれ,自分で工夫して作ったり,改良する機会が少なくなり,新しい研究には新しい研究機器を作るという『ものづくり』が希薄になり,一方で,最近の研究の多様化は室に新たな役割の模索を迫っている。そうした認識のもと,『ものづくり』能力の重要性の理解と機械工作ニーズの新たな発掘と展開を目指すために,室では,2000年度から,医学・生物学の実験研究に使用される実験装置や器具を題材にして,機械工作の基礎的知識を実習主体で行う機械工作基礎講座を開講し,2003年度は,一軸式簡易型マニュプレータの製作を題材に行っている。参加希望者は,生理研7名,基生研2名で,ガイダンスの後マンツーマンで4回の講習を行っており,一人のけが人も無く無事に講習が終了する事を願っている。 また,毎年,生理学研究所で,夏期に生理学分野に関心を持つ大学・大学院生,若手研究者を対象とした実習形式のトレーニングコースを開催しているが,平成14年度からは,その一コースを担当しており,今年度も「生理学実験のための電気回路・機械工作」というテーマで実施した。 なお,機器研究試作室の平成14年度の利用状況は,以下の通りである
機器研究試作室利用機器表 (件数)
機器研究試作室利用人数表
機器研究試作室部門別利用状況
|