2002年9月27日−9月28日
代表・世話人:平野丈夫(京都大学 理学研究科)
所内対応者:伊佐 正
- (1)
- 小脳プルキンエ細胞の興奮性シナプス伝達に対するグルタミン酸トランスポーター阻害剤の作用
飯野昌枝,高安幸弘,小澤瀞司(群馬大学医学部)
- (2)
- 神経細胞死により促進される海馬歯状回の代償的神経新生
鎌田真希,八尾 寛(東北大学生命科学研究科)
- (3)
- 単一海馬苔状線維終末におけるCa2+チャネルサブタイプの多様性
宮崎憲一,八尾 寛(東北大学 生命科学研究科)
- (4)
- 海馬CA1シナプスにおけるグルタミン酸放出に関与する電位依存性カルシウムチャネルの機能同定
真仁田聡,河村吉信,井上雅司,工藤佳久,宮川博義(東京薬科大学)
- (5)
- カルシウム蛍光シグナルの経時変動による海馬顆粒細胞の発火回数解析
村山正宣,井上雅司,工藤佳久,宮川博義(東京薬科大学)
- (6)
- 成獣マウス海馬神経回路の機能的・構造的非対称性
伊藤 功(九州大学理学研究科),重本隆一(生理学研究所)
- (7)
- 視覚野における2種類のNMDA受容体依存性シナプス可塑性
吉村由美子,小松由紀夫(名古屋大学環境医学研究所)
- (8)
- シナプス後部蛋白質の分子種特異的な動態
岡部繁男(東京医科歯科大学医歯学総合研究科)
- (9)
- グルタミン酸受容体d2サブユニットの細胞レベルでのはたらき
矢和多智,平野丈夫(京都大学理学研究科)
- (10)
- グルタミン酸受容体d2サブユニットの生体におけるはたらき
吉田盛史,平野丈夫(京都大学理学研究科)
- (11)
- 大脳皮質―脊髄介在ニューロン系の運動制御における役割
伊佐 正(生理学研究所)
- (12)
- シナプス前終末におけるミオシンの働き
持田澄子(東京医科大学)
- (13)
- Roles of synaptotagminI in synaptic transmission
城所良明(群馬大学医学研究科)
- (14)
- 新しい神経伝達物質放出制御因子とアクテイブゾーン構成因子
高井義美(大阪大学医学研究科)
- (15)
- 2光子励起法を用いたシナプス様小胞の融合細孔とエンドサイトーシスの定量的解析
河西春郎(生理学研究所)
- (16)
- タイプー3リアノジン受容体によるカルシュウム遊離と伝達物質放出促進機構
久場健司,久保田正和,成田和彦,鈴木慎一,曽我聡子,秋田天平,蜂須賀淳一
(名古屋大学医学研究科)
- (17)
- 神経終末においてシナプス伝達を制御するKチャネル
石川太郎,李文斌,岩崎真一,斎藤直人,高橋智幸(東京大学医学研究科)
- (18)
- 視細胞の代謝型グルタミン酸受容体によるグルタミン酸作動性シナプス伝達の調節
細井延武,洪 鐘哲,立花政夫(東京大学人文社会系研究科)
- (19)
- 青斑核ニューロンにおけるメチルフェニデートの作用
赤須 崇,木谷有里(久留米大学 医学部)
- (20)
- 虚血性神経細胞死に寄与する細胞内情報伝達過程
田中永一郎(久留米大学 医学部)
【参加者名】
真仁田聡,村山正宜,井上雅司,宮川博義,河村吉信(東京薬科大生体高次),工藤佳久(東京薬科大生命科学),飯野昌枝,齋藤康彦,城所良明(群馬大医),平野丈夫,大槻元,鵜飼健,鶴野瞬,川口真也,矢和多智,吉田盛史(京都大理),宮崎憲一(東北大生命科学),持田澄子(東京医科大),伊藤功,川上良介(九州大院理),漆戸智恵,岡部繁男(東京医歯大),小松由紀夫,吉村由美子(名古屋大学・環境医学),細井延武(東京大院人文),金子雅博,山下貴之,松山恭子,中村行宏,入村早苗,山下滋郎,鷹合秀輝,鈴木大介,水谷冶央,齋藤直人,小池真紀,川上典子,高橋智幸,辻本哲宏,石川太郎(東京大院医),鎌田真希,八尾寛(東北大院生命科学),安松信明(東京大理)赤須崇,田中永一郎,木谷有里(久留米大医),高井義美(大阪大院医),河北友克(豊橋技科大),久場健司,久保田正和,西嶋泰洋,鈴木慎一(名古屋大院医),井本敬二,岩崎広英,萩原明,馬杉美和子,宮田麻理子,河西 春郎,野口潤,松崎政紀,窪田芳之,篠原良章,根本知己,兒島辰哉,高橋倫子,重本隆一,坪川宏,伊佐正,関和彦,坂谷智也,山下哲司,勝田秀行,渡邊雅之,李 鳳霞(生理研),
【概要】
平成14年9月27,28日に生理学研究所研究会「シナプス伝達制御の分子機構」を行った。本研究会には,生理学研究所外から約50名,総勢約70名が参加して,シナプス伝達制御にかかわるさまざまな研究発表が行われ,率直かつ活発な議論が展開された。研究発表は,シナプス前終末からの伝達物質放出を制御する分子(カルシウムチャネル・シナプトタグミン・ミオシン・リアノジン受容体・ラブ等)や,伝達物質放出過程についての解析,シナプス後部に局在する分子(NMDA受容体・グルタミン酸受容体デルタ2サブユニット・ホーマー・PSD95等)のはたらきについての解析,シナプス可塑性機構についての研究,そして個体レベルの研究を含んでいた。発表者は細胞レベルの生理学研究者が中心となっていたが,分子生物学研究者や形態学研究者も参加して,2光子顕微鏡を使用した伝達物質放出過程に関する解析・ミュータントマウスを用いた培養神経細胞でのシナプス関連蛋白質の長時間のタイムラプス観察など,最新かつ多様な研究発表がなされた。また,NMDA型受容体サブユニットの左右での非対称な分布,および異なるNMDA受容体サブタイプが興奮性と抑制性シナプスの近傍で役割分担していることを示唆する実験結果など,意外性が高く興味深い研究発表が多くなされた。また本研究会では,大学院生など若手に口演発表する機会を与えることを奨励したが,発表した若手研究者はよい経験をしたように思われる。本研究会では,異分野の研究者が一同に会し,若手を含めて気軽な雰囲気の中で,率直かつ建設的な議論を行い,各人にとり有用で実質的な情報交換を行うことをめざしたが,その目的は達成できたように思う。