生理学研究所年報 年報目次へ戻る生理研ホームページへ

1.MnCl2造影磁気共鳴イメージングによる中枢興奮部位の同定

森田啓之,田中邦彦(岐阜大学)
荻野孝史(国立精神・神経センター研究所)
瀬尾芳輝(独協医科大学)
鷹股 亮(奈良女子大学)
村上政隆(生理学研究所)

【目的】我々は2000年度から,MnCl2造影磁気共鳴イメージング法を用い,中枢の興奮部位同定を行ってきた。Mn2+は,神経細胞興奮時に電位依存性Ca2+チャネルから細胞内に取り込まれる。このため,血流量に依存せず,神経細胞興奮と直接リンクした画像描出が可能である。しかし,Mn2+は血液−脳関門を通過しないので,Mn2+を神経細胞周囲に分布させるために,血液−脳関門を破壊する必要がある。しかし,血液−脳関門破壊は,正常な応答を障害する可能性があり,血液−脳関門破壊を必要としない方法の開発が望まれている。したがって,本年度の研究目的は,血液−脳関門を破壊しないMnCl2造影磁気共鳴イメージング法を確立することである。

【方法】全ての実験はWistar系雄ラット(200〜280g) を用いて行った。エンフルラン  (1 %),O2/CO2- N2O (1 : 1.5) 吸入麻酔下に,左大腿静脈から下大静脈へMnCl2投与用カテーテルを挿入した。右外頸動脈から総頸動脈に向けカテーテルを挿入し,先端部は総頸動脈–内頸動脈分岐部に固定した。手術終了後,腹腔内にα−クロラロース(25 mg/kg) +ウレタン(250 mg/kg) を投与し,エンフルランを中止した。ラットをアクリル製頭部固定装置に固定した後,23 mmの表面コイルをbregmaの尾側4 mmの場所に中心を合わせて設置した。MnCl2(100 mM, 2 ml/kg/h) を静脈内に投与した。1.5〜2.0時間の投与により,Mn2+は血管内から脳室内へ,さらに脳室内から脳実質へと拡散する。実質内に十分拡散したことを確かめた後,刺激として,内頚動脈から高張溶液を投与した。磁気共鳴施設のABX Biospec 47/40(Bruker社,4.7 T)を用い,刺激前,刺激中,刺激後と連続してT1-weighted MRI画像を撮影した(視野:25×25 mm,データ画素数128×128,スライス厚1 mm,9スライス,TR/TE:150/4.2 ms)。刺激前後の信号強度変化スピードを検定し,刺激により有意に信号強度が増加した部位を求めた。

【結果と考察】1.5MNaCl溶液,内頚動脈内投与(0.1および0.2ml)により信号強度が増加した中枢部位を図に示す。中枢の浸透圧刺激により,皮質,視床,視床下部の広い範囲にわたり,信号強度が容量依存性に増加した。以上の結果から,血液−脳関門を破壊しなくても,MnCl2の投与時間を長くすることにより,血管−脳室−脳実質へと拡散して,刺激により興奮した部位に取り込まれることが確認された。この方法により,より生理的な解析が可能になる。

0.1ml


0.2ml

 

2.マンガン造影による浸透圧,容量刺激に対する
視床下部神経核活動の解析

鷹股 亮,吉本光佐(奈良女子大学・生活環境学部)
瀬尾芳輝(京都府立医科大学・第一生理学教室)
荻野孝史(国立精神・神経センター神経研究所)
村上政隆(生理学研究所)

 体液調節系は,浸透圧調節系と容量調節系からなり,これらの調節系がそれぞれ独立して,または相互作用して体液の状態が一定に保たれる。体液浸透圧の上昇や細胞外液量の減少に対する中枢神経系の反応部位および反応様式を明らかにすることは,体液調節系のメカニズムを理解するためには不可欠である。そこで,血漿浸透圧上昇時と細胞外液量減少時の視床下部及び延髄における神経活動をマンガン造影法により可視化し,これら刺激を与えた際のこれら部位におけるc-Fos発現と比較検討した。

 実験には,α−クロラロース/ウレタン麻酔下のWistar系ラットを用いた。ラットの即脳室にカニュールを挿入し,2mMのMnClを50m/h の速度で側脳室内に持続的に注入し,脳室周辺の細胞外液にMn2+を分布させた。予備実験において,最適な分布が得られる条件を検討した結果,これら条件においては,120分が最適である結果が得られた。

 マンガンが脳室周辺の細胞外液に十分に分布したのを確認した後,静脈内に高張性食塩水(1.5M ; 3.3ml / kg b.w.) または利尿剤であるfurosemide (10mg/kg b.w.) を投与し,その際の脳内における神経活動部位を細胞内へのマンガン取り込みをT1強調画像の信号強度の上昇で観察した。

 高浸透圧NaCl投与により,血漿浸透圧は10-15mOsm/kg H2O上昇した。この際,細胞内へMn2+が取込まれた部位をT1強調画像の信号強度の上昇でみると,視索上核および室傍核外側野において信号強度の有意な上昇が認められた。

 furosemide 投与後60分間の尿量は約8mlであり,本実験で用いたサイズのラットの細胞外液の15-20%程度に相当するものであった。細胞外液量の減少に対しては,視床下部視索上核,および延髄弧束核において信号強度の上昇がみられ,これらの部位においてはc-Fos発現が免疫組織学的に確認された。

 本実験で用いた刺激は生理的なものであり,本実験で用いた方法は,生理的な刺激による脳室の周辺部位における脳内の神経活動部位をin vivoで広く検索するのに極めて有効な方法であることが示された。

 

3.Fnuctional MRIによる乱用薬物による耐性獲得,
フラッシングの形成機序解明

吉本寛二(京都府立医科大学・法医学教室)
瀬尾芳輝(京都府立医科大学・第一生理学教室)
荻野孝史(国立精神・神経センター神経研究所)
村上政隆(生理学研究所)

 乱用薬物による耐性獲得,フラッシング(再燃現象)の形成機序解明のため乱用薬物覚醒剤を選択し,そのモデル動物を作成し,Fnuctional MRIにより脳各部位での脳神経活動をモニターし,同時に脳内神経伝達物質の含有量,放出動態変化を化学的方法により測定し,研究検討を行った。今日乱用薬物覚醒剤による犯罪,異常行動は,神経精神医学的また社会医学的に大きな問題である。覚醒剤乱用による異常行動は,覚醒剤の薬理生理学的作用による耐性獲得並びに再燃現象(フラッシュバック)が大きく関与しているが,その詳細は不明である。それらの機序を解明することは医学的社会的に重要な意義をもつ。

 覚醒剤動物モデルは,ヒト覚醒剤乱用者を参考にして,1) 覚醒剤を初めて摂取する群,2) その連続摂取後断薬する群,および3) 覚醒剤連続摂取後断薬し,再び覚醒剤を摂取する群に分ける。初回摂取群に於ける脳神経活動の活性化パターンを対照として,覚醒剤最終摂取後一定の時間後に覚醒剤耐性形成,再燃現象過程における脳神経活動を検討した。まず,functional MRIを用い,覚醒剤投与後の脳神経活動を経時的にモニターする為の基本的な測定パラメータの設定を行った。視床,視床下部から脳幹部に焦点をあて,従来よりも深い脳部位での脳活動変化をT2*-weighted MRIにより再現性良く検出を行うことができた。同時に脳血流速度の測定を試み,覚醒剤投与時に急激な脳血流の局所的な増加が生じていることが明らかとなった。この為に,T2*-weighted MRIによるBOLDコントラストよりも血流により依存するT1-weighted MRIの方が検出感度が高いことが示唆された。また,脳内神経伝達物質の含有量,放出動態変化をHPLC-ECDにより解析を進めている。

 以上の実験によって,皮質領域の反応が初回投与群と5日間連続投与群とで異なる事が示唆される結果を得た。さらに,例数を増やすと共に,他の脳領域における反応の差異についても解析を進めることにより,フラッシングの機構解明の一歩を確保することができると考えている。

 

4.MRIによるサル前頭葉,視床の観察と電極定位への応用

船橋新太郎(京都大学大学院人間・環境学研究科)
新田統昭(京都大学大学院人間・環境学研究科)
渡辺 慶(京都大学大学院人間・環境学研究科)
前田 敦(京都大学大学院人間・環境学研究科)
小松英彦(生理学研究所)

 前頭連合野と双方向性の強い線維結合をもつ視床背内側核は,その損傷により前頭連合野の損傷に類似した行動変化が観察されることから,前頭連合野の機能を理解する上でその機能の理解が不可欠であると考えられる。われわれの研究グループでは,ワーキングメモリを必要とする課題を行なっているサルの視床から単一ニューロン活動の記録を試みているが,背内側核が脳の深部に位置し,位置決定のための基準となる stereotaxic map上の位置が文献により大きく異なるため,電極の定位が難しい。そこで,MRIにより視床を含む脳領域を可視化し,いくつかの脳部位との相対的な位置関係から視床背内側核の位置を正確に定位することを試みた。また,前頭連合野背外側部の主溝,弓状溝の位置の決定,眼窩前頭葉,前部帯状回の位置の決定も実施した。

 2頭のニホンザルの脳のMRI画像を撮影した。麻酔したサルの頭部をMRI撮影用脳定位固定装置に固定し,MRI装置により,前額断,矢状断,水平断の脳断面を撮影した。撮影はstereotaxic atlasで想定される視床背内側核を中心に,全脳にわたって行なった。

 撮影されたMRI画像はSPM99を用いて解析した。まず,脳をstereotaxic atlasと同一の座標に配置し,前額断の画像を用いて前交連の位置(前後軸上の座標位置)を決定した。いずれの文献でも,背内側核の前後軸上の位置は,前交連の後方6-16mmの範囲であることから,先に決定した前交連の位置から背内側核の位置を決定し,電極アダプターの設置位置を決定した。

 

5.機能画像装置を用いた痒みの中枢性抑制ネットワークの解明

谷内一彦,望月秀紀,田代 学,岡村信行
(東北大学大学院医学系研究科細胞・病態薬理学分野)

 本研究の最終的な目的は,痒みによる不快感を取り除く新しい治療法を開発することである。ポジトロン断層影像法(PET) を用いた先行研究により,ヒト脳内に痒みを抑制する機構が存在することが明らかにされた。しかしながら,そのメカニズムは痛みの中枢性抑制機構とほぼ同じような脳部位(中脳中心灰白質や帯状回な)を構造として持っていた。PETの空間解像度では,痒みと痛みの中枢性抑制機構を分離することは困難であると考れ,より空間分解能の高い3テスラの機能的MRI装置で痒みと痛みの中枢性抑制機構の構造的な違いを明らかにすることを目指した。しかしながら,機能的MRIを用いた痒みのイメージング研究はこれまでに行われていなかったため,本研究ではその方法論の開発から開始した。

 痒み刺激として,痒みを誘発する代表的な物質であるヒスタミンを用いた。0.001%〜0.1%まで様々な濃度のヒスタミン溶液(ヒスタミンを生理食塩水に溶かしたもの)を用意した。各溶液で浸された電極パット付脱脂綿を手首や足など様々な身体部位に固定し,イオントフォレーシスを用いて20秒間通電(1mA) した。通電によりヒスタミンが皮下浸透することによって痒みが誘発される。検討した結果,0.1%のヒスタミン溶液を使い,刺激部位としては手首が最も効果的に痒みを誘発することがわかった。同じ方法で機能的MRI装置内で痒みを誘発することにも成功したので,実際に機能的MRI装置を用いて痒み刺激時の脳活動部位の同定を行った。図1は本研究に参加した被験者(一名)の痒み刺激時の脳活動データである。先行研究と同様に帯状回や島,頭頂葉などで脳活動が認められた(図1)。今後この方法を用いて被験者数を15名程度まで増やす予定である。


 図1

 

6.サルの視覚弁別課題の学習課程における
下側頭様,海馬,前頭前野の働き

尾上浩隆((財)東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所 心理学研究部門)

 非言語的なコミュニケーションにおいて視覚知覚,認知機能は重要な位置を占めている。特に,乳幼児の臨界期における視覚情報は,コミュニケーションに必要な脳機能の正常な発達に密接な関係があると考えられている。このような「心」の発達の問題は未開拓な研究分野であり,これを解明するためには非侵襲的な脳活動の測定と神経生理学的な実験を有機的に組み合わせた研究を行う必要がある。本研究では,まずサルを用い非侵襲的な測定方法であるPositron Emission Tomography (PET) システムを利用し,視覚認知・コミュニケーションに関係する脳の機能解剖を明らかにすることを目的にしている。PETを用いた機能イメージング画像に,生理学研究所との共同研究で得られた高画質のMRI画像を,個々のサルで重ね合わせることにより,詳細は脳解剖情報を得た。

 今年度は,サルに顔や幾何学図形を用いた図形弁別課題を行わせ,この学習タスク遂行中の脳活動をPETにより測定した。2つの図形刺激の内の一つを選ぶと報酬がもらえる2刺激同時弁別課題について,新規なペアー図形を使用して,サルに学習セット(学習の構え)を成立させた。行動学的な観察によって,サルは学習セットの成立に伴い,新規課題の問題解決時の反応時間(問題提示から正解判定のレバーを押すまでの時間)が延長し,問題解決(100%の正解率)までの過程が短縮されることが明らかになった1)。行動学的な研究では,学習セットの成立に伴う問題解決時に脳のどの領域が関与しているのかは不明である。これを明らかにするために,現在,サルを用いたPETによる脳機能イメージング実験により,問題解決期の脳活動の測定している。

1)Yokoyama C, Onoe H, Watanabe Y. Increase in reaction time for solving problem during learning-set formation. Behav Brain Res 152: 221-229, 2004.

 

7.磁気共鳴画像診断用新規造影剤の開発

阪原晴海(浜松医科大学医学部)
定藤規弘(自然科学研究機構生理学研究所)
竹原康雄(浜松医科大学医学部)
村松克晃(浜松医科大学医学部)
那須初子(浜松医科大学医学部)
杉山雅洋(浜松医科大学医学部)

 本研究の目的は,組織特異性あるいは病変特異性をもった,磁気共鳴画像診断用の新しい造影剤の開発を行うことである。

 dendrimers DTPA-D1Glu (OH) は分子量1448.45Dで,Gd-DTPAをコアとし,4個の糖を側枝とする第一世代のデンドリマー型造影剤であり,静脈投与後に,時間単位で血液中に停滞する血液プール造影剤の性格を有している。この造影剤を用いて造影3D MR angiography (MRA) 上で,血管の描出能が向上するかどうか,また,その持続時間はどうかについて,現在臨床で広く利用されているGd-DTPAによるMRAとの比較において検討した。

 20週齢の3匹の雌Wistarラットをソムノペンチル(i.p.) にて全身麻酔下で2種類の造影剤dendrimers DTPA-D1Glu (OH) (0.05mmol/kg) とGd-DTPA (0.1mmol/kg) による造影MRAを施行した。使用機種はMagnetom Allegra 1.5Tに2インチ表面コイルを併用した系である。撮像シーケンスは造影MRAに適しているとされる3D-VIBEである。造影MRAは先ず,Gd-DTPAによる撮影を行い,撮像終了後6時間以上経過してGd-DTPAによる造影効果が消失してからdendrimers DTPA- D1Glu (OH) による撮影を施行した。撮影は造影剤の静脈注射前,3分後,30分後,2時間後に施行した。得られた元画像上で,肝臓,腎臓,腹部大動脈,下大静脈,肝臓,ファントーム,および背景の空気に関心領域を設定し,平均信号強度と標準偏差を計測し,信号雑音比(SNR) を計算した。その結果,dendrimers DTPA-D1Glu (OH) によるMRAでは,大血管のSNRは全ての時相において,Gd-DTPAによる造影に勝った。また,そのコントラストは投与後少なくとも2時間後まで持続した。

 dendrimers DTPA-D1Glu (OH) による造影MRAは血管コントラストの高さと,その持続時間において,従来の造影剤に勝り,MRAに適した造影剤であることが,in-vivoで証明された。

 Figure1は大動脈のSNRの時間変化をグラフにしたものである。dendrimers DTPA-D1Glu (OH) (DEN-OH) によるSNRの上昇は3分,30分,2時間の全ての時相で造影前より有意に高く,また,Gd-DTPAによるSNR値と比較して全ての時相で有意に高い。

 

8.磁気共鳴画像装置による脳賦活検査を用いたヒトの高次脳機能研究

飯高哲也(名古屋大学 大学院環境学研究科)

 本年度は以下のような研究を行った。まず再認記憶の脳内機構に関して,fMRIと事象関連電位(ERP) をあわせた実験を行った。これはエピソード記憶からの想起の成功にかかわる脳領域をfMRIで探り,次いでERPを用いてその時間経過を測定するものである。スキャン前に学習した線画の再認記憶テストにおいて,Hit項目はCorrect rejection項目よりも前頭葉,頭頂葉,海馬などで信号が上昇していた。これらの領域間の相関関係を検討すると,特に左半球において領域相互の正のパス係数が有意であった。これは絵の記憶に言語的な処理が重要であることと関係していると推察された。また名古屋大学で行ったERPの結果から,頭頂葉は刺激呈示後約500ms,前部帯状回は600ms,左前頭葉は700ms前後でそれぞれ活動している可能性が示唆された。

 次いで,意識的な制御を必要とする顕在記憶と自動的で意識による制御を必要としない潜在記憶の脳内処理過程の相違について研究した。除外課題と包含課題と呼ばれる手続きを用いて顕在記憶と潜在記憶を厳密に分離した。結論として両者は独立の処理によって行われていることが明らかになった。

 さらに異人種間および同一人種間での表情認知に関わる神経機構に関するfMRI研究を行った。同一人種の表情認知時に紡錘状回が特異的に関与することが既に報告されているが,本研究では特に笑顔の認知に焦点を当てた。解析の結果では,白人との比較において日本人の笑顔に対して右上側頭回の賦活が認められた。また同一人種間の表情認知においても神経活動の違いが生じうるとの仮説から,刺激画像として日本人以外のアジア人を加えた。スキャン後に調査した刺激画像に対する実験参加者の主観的な「日本人らしさ」の評定値との相関解析も併せて行っており,こちらは現在データ解析中である。

 本年度は以下の原著論文が発表された。

 Matsumoto A, Iidaka T, Haneda K, Okada T, Sadato N, Linking semantic priming effect in functional MRI and event-related potentials. NeuroImage (in press)

 

9.身体図式を用いた物体の位置認識に関する脳内再現

内藤栄一(京都大学・大学院人間・環境学研究科)

 研究代表者は,手首の腱への振動刺激によって惹起される手首の運動錯覚経験中に脳の運動関連領域が関与することを明らかにしてきた(Naito 2004a,b ; Naito et al. 1999, 2002a, b, 2004) 。この錯覚は振動刺激が筋紡錘からの求心性Ia線維を活動させるために起こることが知られており,四肢が全く動かないにも関わらず被験者は明瞭な四肢の動きを経験する。

 さて,このような運動錯覚を経験している手が他の身体部位に接触している場合,その身体部位にも知覚上の変化が生じる。例えば,右手の伸展筋の腱を振動刺激すると,右手が屈曲する運動錯覚を惹起することができるが,このとき両手を合わせると,被験者は右手のみならず左手も動いているかのように知覚する(Naito et al. 2002b)。面白いのは,両手を体側に固定し同時に両手の伸展筋を刺激すると,両手の屈曲運動錯覚に伴って,被験者自らの体側幅があたかも細くなるかのような錯覚(body shrinking illusion) を惹起できることである(図1)。これは身体部位に限ったことではなく,外界の物体に対しても応用が可能であり,手をコカコーラ缶などの上に乗せ,同様の錯覚を起こすと缶が短くなるような経験をすることも可能である。

 本研究では,特に前者の身体像の変化知覚に関与する脳内部位を同定した。そもそも身体に存在する皮膚感覚受容器や固有感覚受容器は,その担当する身体部位の情報を脳に送っているにすぎない。つまり,身体には身体像などを脳に伝えるレセプターなど存在しないため,脳が身体像を形成するには,それぞれの身体部位からの複数の体性感覚情報などを統合しなければならない。この意味で,この研究はヒトの身体像形成における脳内活動を明らかにする重要な仕事である。また,身体像の認識異常は臨床心理学的にも重要な問題となっており本研究の知見は今後この方面での発展も期待される。

 さて,被験者が両手の屈曲運動錯覚に伴って,自らの体側幅があたかも細くなるかのような錯覚(body shrinking illusion) を経験しているとき,これに決定的に関与する脳領域は頭頂葉2・5野であることが判明した(図2)。さらに,この部位の脳活動は被験者が経験した体側幅の変化量とも有意な相関を示し,この部位が各身体部位(両手からの動きの情報と体側からの静的な位置情報)からの複数の情報を統合して身体像の形成に関与しているばかりか,この活動がその知覚そのものとも関係する可能性を示した。この結果は現在すでに学術雑誌Neuronに投稿しrevise中である。

1. Ehrsson et al. (2004) The construction of the body image in the parietal cortex Neuron (in revision) .

2. Naito et al. (2004) Dominance of the right hemisphere  and role of area 2 and in human kinesthesia. J Neurophysiol (in press) .

3. Naito E (2004a) Sensing limb movements in the motor cortex: How humans sense limb movements. Neuroscientist 10: 73-82.

4. Naito (2004b) Imaging human somatosensory systems. Shinkei Kenkyu No Sinpo(神経研究の進歩)48: 2 249- 260.

5. Naito et al. (2002b) I feel my hand moving: A new  role of the primary motor cortex in somatic perception   of limb movement. Neuron 36: 979-988.


図1

図2

 

10.注意欠陥多動障害(ADHD) における持続処理課題(Continuous Performance Test ; CPT) に関与する脳領域の解析

白川太郎,牧 陽子(京都大学医学部医学研究科社会健康医学系)
定藤規弘,荒牧 勇(生理学研究所)

 注意欠陥多動障害(ADHD) は,注意欠陥・多動性・衝動性を臨床症状とする発達障害である。診断はDSM IV(米国精神医学会,診断と統計のマニュアル第4版)に準拠することが多いが,基準が行動観察であり,診断の曖昧さは排除出来ない。ADHDの障害特性解明には,脳機能画像による課題遂行時脳活動の特異性の観察が有効と考える。

 ADHDには,麻痺などの運動機能に関わる障害がないにも関わらず,手の微細運動に困難を覚える者が見られる。本研究ではADHDの病態を調べるにあたって,両手協調課題を用い,手の微細運動の不器用さに焦点化することとした。しかし,両手協調機能に関しては,障害の判断基準とするべき正常発達の年齢に応じて標準化されたデータがない。そこで,基礎的データ収集のため,両手協調機能の発達の行動実験を行った。

 発達過程では,両側が対称に同期して動く対称運動獲得後,両側が独立に機能する非対称運動が獲得される。今回,両手タッピング課題を用いて,非対称運動の最も基本的な形である平衡運動の,対称運動に対する安定性を指標とした。発達遅滞児のリハビリテーションの可能性に関連して,学習効果も合わせて観察した。

 横断的に4歳から16歳各年齢層で,ピアノを学習している児童,していない児童を各々数名ずつ計測し,学習していない児童の結果を発達効果,学習している児童の結果を学習効果と看做した。今回の結果からは,両手協調運動での非対称運動の安定性への学習効果が観察された。

 今後,正常発達児の基礎データとするためには,被験者数を増やしての横断研究か,若しくは,縦断的研究が必要となる。基礎データに基づいてADHDの行動特性が明らかにされた後,その行動特性に関連する脳領域を,fMRIを用いて明らかにすることとなる。

 

11.磁気共鳴装置を用いた心理的ストレス研究

白川太郎(京都大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野)
福田早苗(ドレスデン工科大学心理学専攻・生物心理学分野)

【背景】ストレスに関連があると考えられている脳部位は,海馬や扁桃体であると,動物実験のレベルで証明されつつある。人においても,課題遂行時の脳反応部位を特定することが可能になりつつある。

 これまでストレスに対する唾液中コルチゾールの反応パターンは,個人によって異なる可能性が,ドイツのグループから出されている。一方,遺伝子多型の研究が進み,人には遺伝的多様性が存在することが明らかになってきている。そこで,上記のコルチゾールの反応パターンが遺伝的な個人差が原因であると仮定し,多型の違いによる特定課題に対する脳の活性部位を,磁気共鳴装置を用いて検出することを目的とする。

 本研究に先立って,下記の予備的検討を行った。

【目的】磁気共鳴装置は,測定時に大きな音を伴うものであり,その音自体がストレスとなる可能性がある。磁気共鳴装置の測定時の騒音が課題遂行時の唾液中コルチゾールに与える影響を検討する。

【方法】健康成人を対象とし,唾液の採取を課題10分前,直前,直後,10分後,20分後,30分後に行った。課題は,ヘッドホンによる磁気共鳴装置の測定時の解剖スキャンの音の視聴10分間である。被験者は男性10名,女性10名で,各平均年齢は,23.1,25.6歳であった。唾液採取は,Salivette (Sartzstedt, Germany) を用い,被験者本人により行われた。コルチゾール測定は,三菱BCLに依頼し,市販のキットを利用したRadioimmunoassay法が使用された。Visual analogue scale (VAS) により,ストレス程度を測定した。

【結果】唾液中コルチゾール値は,音呈示後に有意に下降した(図1)。音呈示群,コントロール群の差は認められなかった。一方,VASスケールは,音呈示群では,音呈示後に有意に上昇したが,コントロール群では,その傾向は認められなかった(図2)。また,性・年齢の影響は認められなかった。

【結論】コントロール群の結果から,唾液中コルチゾールの下降は日内リズムによる低下の可能性が高く,磁気共鳴装置の音が唾液中コルチゾール値に影響を与えるストレスとはなりえないと考えられる。これより,磁気共鳴装置を使った課題に,音そのものが影響を与えている可能性は低く,今後,ストレス課題を行った際に,音の影響を考慮せずとも良いことを示唆できたと考えられる。

 

12.温熱的情動感覚(暑さ・寒さ)発現の脳機構解析

彼末一之(早稲田大学スポーツ科学部)・永島 計(大阪大学医学部)
定籐規弘・岡田知久(生理学研究所,大脳皮質機能研究系,心理生理研究部門)

 温度感覚は狭義の温度感覚(熱い・冷たい)と温熱的情動感覚(暑さ・寒さ)の2種類あるが,いずれについても神経機構に関する知見は少ない。前年は情動感覚(寒さ)に関係する脳部位を検討し,扁桃核の重要性を示唆する結果を得た。本年度はこの結果と比較する目的で狭義の温度感覚(冷たい)に関係するヒトの手部また全身を冷却刺激したときの脳活性部位をfMRIで解析した。

 局所刺激は手掌全体を覆うチューブ内を還流する水によって,左手・右手別々に,冷刺激(25℃:1min) した。対象は健常被検者8名とし,被検者には温度感覚を1 (very cold) から9 (very hot) の9段階で申告させた。温度刺激による痛みを申告した者はいなかった。右手あるいは左手の冷刺激ともに両側の第二次体性感覚野(secondary somatosensory cortex:SII) 及び島皮質(insular cortex) に温度変化及び温度感覚と相関を持つ賦活が認められた。温度感覚は一般に温度の絶対値ではなく変化成分によって強く誘起される。実際,本実験でも温度感覚は温度変化のピークよりも速い反応が見られた。SIIとinsulaの賦活は温度よりも感覚と強い相関が認められた。この結果はこの脳領域の活性が温度感覚発現に重要な役割を果たしていることを示唆する。全身刺激では水の還流するチューブスーツを用いて冷却刺激(15℃:1 min) を行った。対象は健常被検者8名とし,被検者には短時間刺激では「全身の」温度感覚を1 (very cold) から6 (slightly warm) の6段階で申告させた。実験後の申告によれば1 minという短時間の刺激では「寒さ」を感ずることはなかった。この全身冷却刺激では視床(thalamus)及び小脳(cerebellum) に温度感覚と相関する賦活が認められた。しかし温度と相関を示す脳部位は認められなかった。本実験で用いた「全身」の温度感覚は日常ではあまり意識しない感覚である(日常では全身では「暑さ・寒さ」をより意識する)。そのために被験者は全身の感覚を恣意的に平均する,あるいはある局所の感覚を代表させるなどまちまちな方法をとっていたようである。このために局所冷感覚で見られたSIIとinsulaの賦活が得られなかった可能性がある。また小脳の賦活については急速な全身冷却では全身の筋トーヌスが上昇するのでそれにともなう二次的なものである可能性がある。全身刺激については今後より詳細な検討が必要である。

 

13.非侵襲的脳機能検査による疲労・疲労感評価法

渡辺恭良(大阪市立大学・大学院・医学研究科・システム神経科学)
田中雅彰(大阪市立大学・大学院・医学研究科・システム神経科学)
水野 敬(大阪市立大学・大学院・医学研究科・システム神経科学)
石井 聡(大阪市立大学・大学院・医学研究科・システム神経科学)
笹部哲也(大阪市立大学・大学院・医学研究科・システム神経科学)
定藤規弘(岡崎生理研大脳皮質機能研究系心理生理学研究部門)
岡田知久(岡崎生理研大脳皮質機能研究系心理生理学研究部門,神戸先端医療センター)
田邊宏樹(岡崎生理研大脳皮質機能研究系心理生理学研究部門)
齋藤大輔(岡崎生理研大脳皮質機能研究系心理生理学研究部門)
尾上浩隆(東京都神経科学総合研究所心理学研究部門)
倉恒弘彦(関西福祉科学大学健康福祉学部)

 中枢疲労の神経メカニズムを明らかにするため,機能的磁気共鳴画像法を用いて疲労前後における脳の血流反応を検討した。疲労負荷として,一定の時間ごとにパソコンの画面に出現するランダムに配置された15-25個の数字の中から,目的の数字を探索するタスクを,健常人7名及び慢性疲労症候群(CFS) 患者6名にそれぞれ1時間,30分間施行した。疲労負荷前後のタスク関連脳部位に加えて,疲労負荷中のタスク非関連脳部位の血流反応についても検討を行った(Fig.1) 。タスク非関連脳部位の反応については,タスク施行下,磁気共鳴画像装置による雑音を1秒間消したときの血流反応を測定した。

 本タスク前後で全例疲労感の主観的指標である,Visual analogue scale (VAS) 値の増加を認めた。タスク関連脳部位として,視覚野,頭頂葉,Frontal eye fieldの反応が認められ,タスク関連脳部位の視覚野の血流反応は,健常人,CFS患者ともに,疲労負荷後,減弱を認めたが,減弱率は,健常人とCFS患者で差を認めなかった。一方,タスク非関連脳部位として,両側聴覚野の反応が認められ,健常人では疲労負荷中においてタスク非関連脳部位の血流反応の減弱を認めなかったが,CFS患者では疲労負荷中において,タスク非関連脳部位の血流反応の減弱を認めた。さらに,この減弱率は,本実験施行前のVAS値と有意な相関を認めた。さらに,Voxel-by-voxel解析を行ったところ,疲労負荷中において,左側頭平面の血流反応が特異的に,健常人と比べて,CFS患者において有意に減弱した(Fig.2) 。

 以上より,中枢疲労は,疲労負荷中のタスク関連脳部位より,むしろ,タスク非関連脳部位の反応減弱として特徴づけることができると考えられた。

Fig.1 Fig.2

 

14.超可聴域を含む非定常音の脳内処理機構の解明

仁科 エミ(メディア教育開発センター)
本田 学(岡崎国立共同研究機構生理学研究所)

 これまでに本研究グループは,非定常な高周波成分が可聴域音と共存することにより,視床および上部脳幹の局所脳血流増加を含む,特有の相互作用をおよぼすことを報告してきた。また近年,音声信号で振幅変調した超可聴閾弾性波を骨導で呈示すると,内耳性難聴者でも音声の認知が可能であると報告されている。本研究は,こうした可聴閾を超える非定常な高周波弾性振動情報が神経系に影響をおよぼすメカニズムについて,その伝達経路の解明を目的とする。

 本年度においては上記の研究目的達成のため,磁気共鳴機能画像実験で使用するための非定常なゆらぎを豊富に含んだ自然音源作成のための基礎的検討をおこなった。まずミリ秒単位での周波数構造の変化を捉えることのできる最大エントロピー・スペクトルアレイ法という解析手法を開発し,さまざまな楽器音,合唱音声,環境音の音響特性構造を解析した。その結果,尺八演奏音,東欧文化圏のたとえばグルジア男声合唱演奏音,熱帯雨林の自然環境音などには,可聴域および超可聴域の両者において数ミリ秒単位で変化する周波数領域における非定常性が顕著に観察されることを明らかにした。

 またセラミック性の非磁性聴覚刺激装置の周波数特性を改善して80kHzまでの高周波成分の呈示を可能にするとともに,装置が発生する騒音の遮音性を高めるシステムを開発した。このシステムを用いて機能的磁気共鳴画像の試験的な撮像を実施し,音響呈示条件を検討中である。

 またさらに昨年度開発した主成分分析法を発展させ,個人ごとあるいは条件ごとの変動も勘案した上で,データに含まれる互いに相関をもった変動成分を抽出する神経ネットワーク解析を整備し,他の計測指標との相関解析を可能にした。この手法をもちいて,非可聴域超高周波成分を豊富に含む音を聴取時,同じ音源から超高周波成分を除去した音を聴取時に記録した脳血流信号を解析したところ,第一成分として視床,視床下部,脳幹を含み前頭前野ならびに帯状回に広がる成分が,両条件間の血流変化をもっとも際立たせる成分として抽出された。今後この手法を磁気共鳴機能画像データに適用する予定である。

 

15.読字障害児の病態解明のための日本語の
音韻課題における非侵襲的脳賦活研究

大野耕策(鳥取大学医学部脳神経小児科)
小枝達也(鳥取大学地域学部地域教育学科)
関あゆみ(鳥取大学医学部附属病院脳神経小児科)

 発達性読字障害は学習障害の一型であり,アルファベット言語においては,音韻認識(Phonological Awareness) の障害が主たる病態とされている。PhonologicalAwareness (PA) とは,聴覚的に認知あるいは心的に想起した言語音を,より小さな音韻単位に意識的に分解・操作する能力である。PA課題における脳賦活研究では,読字障害児では健常児と比較し,左下頭頂小葉〜上・中側頭葉後部の賦活が弱く,下前頭回の賦活はむしろ強いことが報告されている。この結果はアルファベット言語では言語の違いによらず共通しているが,日本語や中国語など音韻単位や音韻−文字関係の異なる言語においては明らかにされていない。

 日本語における発達性読字障害児の病態を他言語と比較して検討するためには,(1)アルファベット言語と比較可能なPA課題の作成,(2)その課題と読み能力の関係の評価,(3)その課題における読字障害児と健常児の脳賦活部位の違いの確認,(4)他言語との比較,が必要と考える。

 これまでに私達はPA課題として母音変換課題を用い,健常成人を対象にfMRI研究を行っている。聴覚呈示でアルファベット言語でのPA課題とほぼ同様の結果が得られたが,視覚呈示では異なる部位が賦活を認め,言語の特性による違いと考えられた。また,この課題は,難易度が高く小児には不適当であった。

 そこで今回は,小児でも可能な仮名の母音比較課題を用いた。これは英語圏の小児で行われているアルファベットの韻の比較課題を仮名に置き換えたもので,小学校低学年の児童でも遂行可能である。まず,小学校2〜4年生の健常児38名,読字障害児13名を対象に母音比較課題と読み能力および知能について調査を行った。その結果,読字障害児群における正答数は知能レベルの等しい健常児群と比べ不良であった(P < 0.001, t検定,図1)。また,この課題の正答数は読みの速さと流暢性に有意に回帰した(p < 0.01, 重回帰分析)。

 予備実験として,健常成人10名を対象とし,仮名の母音比較課題とアルファベットの韻の比較課題でのfMRI実験を行った。両課題で左前頭様のほぼ同一の部位が賦活されたが,頭頂葉の賦活はアルファベット課題でのみ認められた(図2)。アルファベット課題の結果は,英語圏の小児の結果に類似し,言語の特性の他に,年齢や言語習得に伴う変化についても検討が必要である。

 

16.非侵襲的脳機能検査による統語解析

吉田晴世(大阪教育大学)

 非自国語の学習における統語解析(syntax) の獲得過程を,行動学的指標とともに神経活動の変化を観察することにより解明することを目的とする。このために,統語解析課題を自国語(日本語)において確立した後,機能的MRIを用いて,脳神経活動を,血流変化を指標として計測する。ここで確立した方法を,非自国語(英語)における同等課題に適用する。さらに,これらの実験パラダイムを自国語が英語,非自国語が日本語であるグループに適用し,外国語習得過程の違いを比較検討する。

 今年度は,日本語の統語解析課題として袋小路文(garden path sentence) を作成した。袋小路文は,文法的には正しいが,即座に意味理解をするのが難しい構文を持つ文の一種であり,文の途中で理解に行き詰まり,また始めにもどって理解し直す必要が出てくるため,袋小路文でないものにくらべ,余分の統語解析過程が要求される。実際に,語順を変化させることにより,意味を保存した袋小路文を作成し,これを文節ごとに提示して読み取り時間を計測したところ,意味分岐の起こる文節において読み取り時間が有意に延長することを確認した。次年度は,この統語解析過程に対応する神経基盤を,機能的MRIを用いて描出する予定である。

 


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