生理学研究所年報 第27巻
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第16回 生理科学研究所 生理科学実験技術トレーニングコース

2005年8月1日−8月5日
主催:自然科学研究機構 生理学研究所
共催:日本生理学会,日本神経科学学会
文部科学省特定領域研究「統合脳」総括班
所内世話人:井本敬二(神経シグナル)

【概要】
 生理学研究所の一大行事に成長した「生理研トレーニングコース」は,2005年度も活発に行われました。受講者は192名。受講料は10,200円。

 コースの構成は,ほぼ前年通りで,月曜日午後に講演と研究部門紹介,火曜日から金曜日までの4日間を実習コースにあてました。その他の行事として,水曜日夕方に交流会,金曜日15時以降に研究室訪問を設定しました。

 受講者のトレーニングコースに対する評価は,高いものでした。また所内の若手研究者にも教育実習としてかけがえのない経験になっていると思われます。

 問題点としては,287名という多数の応募者の内,100名近い人を断らなくてはならなかったことがあげられます。またロッジに泊まれる人が限られているのも毎年の問題です。しかしながら200名近い受講生は,生理研のキャパシティから考えて,少し多すぎるのかも知れません。実際,脳機能画像解析入門のコースでは,人数が多すぎて冷房が効かないといった問題が起こりました。

 関連企画としてトレーニングコースの直前に,生理学研究所『バイオとナノテクのアプローチ融合による生体センサー分子機構の解明に向けて』と文部科学省特定領域研究「統合脳5領域」レクチャーコース『神経科学の先端技術:分子・細胞から個体システムまで』の2つのレクチャーコースが催されました。いずれも参加者には好評でしたが,トレーニングコースと合わせて参加するには,期間・旅費の面で難しいという声も聴かれました。

 なおトレーニングコース受講者を対象としたアンケートの集計は,生理研ウェブサイトhttp://www.nips.ac.jp/training/2005/TC2005Q.pdfに掲載しています。

 

【講演】
(1)
大脳の局所神経回路
窪田芳之(大脳神経回路論)

(2)
システム神経科学がめざすもの
南部篤(生体システム)

【実習コース】
(1)
位相差断層電子顕微鏡の原理と実践
永山國昭,大河原浩,R. Danev,厚沢季美江(ナノ形態生理)
臼井信光(藤田保健衛生大),新井善博(日本電子)

(2)
凍結割断レプリカ免疫標識法
重本隆一,深澤有吾(脳形態解析)

(3)
in situ hybridization法を用いた二重染色法
小野勝彦,田中謙二,等誠司,池中一裕(分子神経生理)

(4)
超高圧電子顕微鏡による生物試料の立体観察
有井達夫,古家園子(形態情報解析室)

(5)
局所神経回路構築の形態学的解析 A:光顕2重染色法,B:超薄連続切片シナプス観察法
窪田芳之,川口泰雄(大脳神経回路論)

(6)
2光子励起顕微鏡法によるシナプス・開口放出の研究
河西春郎,根本知己(生体膜)

(7)
パッチクランプ基礎実験技術法
久木田文夫(神経分化),富永真琴,柴崎貢志,富樫和也,東智広(細胞生理)
鍋倉淳一,張一成,前島隆司(生体恒常機能発達機構)
清水貴浩,高橋信之,井上華,ダッタアマールクマール,沼田朋大,岡田泰伸(機能協関)

(8A)
パッチクランプバイオセンサー法 A:パッチクランプバイオセンサー法によるATP 放出解析
清水貴浩,高橋信之,井上華,ダッタアマールクマール,沼田朋大,岡田泰伸(機能協関)

(8B)
パッチクランプバイオセンサー法 B:穿孔パッチクランプバイオセンサー法による細胞内シグナル伝達解析
鍋倉淳一,張一成,前島隆司(生体恒常機能発達機構)

(8C)
パッチクランプバイオセンサー法 C:パッチクランプバイオセンサー法による温度受容解析
富永真琴,柴崎貢志,富樫和也,東智広(細胞生理)

(9)
in vitro 発現系を用いたイオンチャネル・受容体の機能解析
岡村康司,岩崎広英,村田喜理(神経分化)
久保義弘,立山充博,中條浩一,藤原祐一郎(神経機能素子)

(10)
スライスパッチクランプ法 A:初心者体験コース,B:一般コース
宮田麻理子,佐竹伸一郎,井上剛,佐々木幸恵,井本敬二(神経シグナル)
籾山俊彦(脳形態解析)

(11)
ゼブラフィッシュを用いた神経回路機能の解析
東島眞一(神経分化)

(12)
摂食・飲水行動発現機構入門
箕越靖彦,岡本士毅,志内哲也,李順姫,斉藤久美子(生殖・内分泌系発達機構)

(13)
電気生理学及び心理物理学的手法による視知覚メカニズムの解析
小松英彦,伊藤南,小川正,郷田直一,鯉田孝和(感覚認知情報)

(14)
麻酔下動物での電気生理実験
伊佐正,関和彦,西村幸男(認知行動発達機構)

(15)
慢性動物実験法入門
南部篤,畑中伸彦,橘吉寿,伊藤昭光,知見聡美,宮本香奈,高良沙幸(生体システム)

(16)
脳磁図によるヒト脳機能研究の基礎
金桶吉起,柿木隆介(感覚運動調節)

(17)
脳機能画像解析入門
田邊宏樹,定藤規弘,本田学,神作憲司,齋藤大輔,豊田浩士,
荒牧勇,原田宗子,守田知代(心理生理学)

(18)
生理学実験のための電気回路・機械工作 −OPアンプによる増幅器とチェンバー作製−
小原正裕,山口登,戸川森雄,大庭明生(技術課)

 


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