生理学研究所年報 第30巻
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多次元共同脳科学推進センター

【概要】

 多次元共同脳科学推進センターは本年度4月に設置され,自然科学研究機構(生理学研究所,基礎生物学研究所)の複数の教授が併任し運営を開始した。また,プログラムオフィサーを公募,選任し,吉田明特任教授が8月に着任した。さらに外部研究機関から,基礎的な脳科学及びその関連分野(臨床医学,工学,心理学,倫理学)を専門とする客員教授,客員准教授を8月から11月にかけて選任し,外部の研究機関と連携した研究環境を整えつつある。

 具体的活動としては,多次元共同脳科学推進センターキックオフシンポジウム,異分野連携的な若手脳科学研究者育成プログラムを立案するための模擬講義,脳科学の新領域を探るブレインストーミングを開催した。

<多次元共同脳科学推進センターキックオフシンポジウム>
 キックオフシンポジウムを平成20年4月16日から18日にかけて開催した(参加者292名)。前半では,日本のブレイン・マシン・インタフェイス研究,霊長類を用いた脳研究の今後の展開という2つのテーマについて,「脳内情報抽出表現研究」(BMIの計測,デコーディング,外部機器制御技術),「霊長類脳基盤研究開発」(遺伝子導入技術とマーモセットの生殖工学技術)の最新動向の講演及び討論を行った。また,後半では,若手ニューロサイエンスプログラムモデル講義を行い,このようなコースを継続して行っている意義が広く認められた。

<多次元共同脳科学推進センターシンポジウム>
 平成20年12月6日に,多次元共同脳科学推進センターシンポジウム「総合的に脳科学を理解する人材育成に向けて」を開催し,若手研究者に対する分子から細胞,組織,個体にわたる脳科学のモデル講義を行った(参加者156名)。脳科学を含めた多様な生命科学を専門とする参加者に加え,工学や人文社会科学を専門とする参加者が半数近くを占め,また,企業の研究者も多数参加し,このような脳科学レクチャーに対して多様な専門分野から要求があることが再確認された。

<多次元共同脳科学推進センターブレインストーミング>
 若手研究者を中心に,神経機能分子と神経発生,神経回路,神経システム,融合領域,神経疾患の病態といった視点から今後の脳科学の方向性について話題提供をしていただき,それをもとに脳研究分野において将来取り組むべき重要な研究テーマについて議論を行った。

 



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