TMS

TMSは、ヒトの脳を研究する有力な非侵襲的手段として、急速に進展している。パルス磁場を印加すると、脳内に電流が発生することにより、特定の領域に対して一時的に興奮・抑制を行うことができることから、この技法は、本質的には皮質への電気刺激であると言える。電気刺激は、被験者の頭上に設置したコイルに瞬間的に高電流を流すことにより生じるパルス磁場によって誘発される。パルス磁場が印加されると、その磁場に対して垂直方向に誘導電場が生じるように別の磁場が発生する。この電場により、コイル面と平行な面内に渦電流が生じる。単発パルスTMSは、比較的安全性が高い方法であるため、広く利用されている。高頻度(1~30Hz)反復TMSは、単発パルスTMSよりも効果が強力であり、正常な被験者でも発作を起こすおそれがある。しかし、現在では安全性ガイドラインが策定されており、この手法による問題は、将来的に解決されるであろう(Hallett 2000)。