研究会・国際学会

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社会神経科学研究会(2011年~)

ヒトの社会的心に関連する,既存の学問分野を超えた新しい視点での研究を行っている研究者が集まり,ディスカッションすることを通じて,日本におけるこの分野の研究の推進に貢献することを目的とする。ヒトの社会的こころに関する研究について継続的に議論できる機会を設けるため、ヒトの社会的こころに関連する,既存の学問分野を超えた新しい視点での研究を行っている研究者による講演を実施し,日本におけるこの分野の研究を推進することを目指して、2011 年より、タイトルとテーマを変えて研究会を実施してきた。毎回50 名を超える研究者が参加し,ディスカッションも実りの多いものであった。
各年度に行われた研究会の表題は下記の通り。(2011~2022年度実施)

2011年(平成23年度) 『今、社会神経科学研究に求められていること』
2013年(平成24年度)『社会の中で生きる心の理解』
2013年(平成25年度) 『社会的行動の決定機構』
2014年(平成26年度)『社会認知とコミュニケーション』
2015年(平成27年度)『コミュニケーションを可能にする神経基盤の解明』
2016年(平成28年度)『社会のなりたちを支える内分泌学』
2017年(平成29年度)『サル脳に学ぶ社会神経科学の基盤』
2018年(平成30年度)『社会神経科学的アプローチによる精神疾患の社会性障害の理解』2019年(平成31年度/令和元年度) 『社会科学的アプローチによるヒトの社会性神経回路の理解』
2020年(令和2年度) 『社会性の創発・発達,その多様な軌跡』
2021年(令和3年度) 『脳・環境・臓器間ネットワークと社会性』
2022年(令和4年度) 『社会神経科学研究の今後の展開に向けて』
その他の研究会については以下の通り。
 

脳神経倫理研究会(2020-2022)

神経倫理学の課題を展望し、日本における脳神経倫理の方向性を探ることを目的として、神経科学・生命倫理・哲学・科学技術政策など多分野の専門家による検討の場として設定した。その結果は、英文レビュー論文として公刊されている。
Nakazawa, E., Fukushi, T., Tachibana, K., Uehara, R. & Arie, F. The way forward for neuroethics in Japan : A review of five topics surrounding present challenges. Neurosci. Res. 183, 7–16 (2022).
 

情動の脳科学的理解に基づく人文系学問の再構築(2021)

心理学・言語学・経済学・美学といった人文系・社会系学問は、人間の行動やその記録から内的な状態・過程のモデルを構築する。情動が人間の行動に及ぼす影響は特に人文系学問の重要な主題の一つだが、個体の主観的情動を直接計測することができないために、情動を説明変数に含めたモデルの構築は容易ではない。しかしながら、近年は機能的MRI の発展と統計モデルの高度化により、脳活動から潜在的な情動状態を推定することが可能となりつつある。本研究会では、このような技術を積極的に活用することにより、人文系・社会系学問が今後どのように発展していくことができるかを、幅広く議論する。
 

コミュニケーション研究の展望:双方向コミュニケーションを駆動する神経・行動因子(2022)

他者とのコミュニケーションは双方向的な現象で、科学的な検証には双方向性を考慮した研究が不可欠である。近年の個体間の行動・脳同期に関する研究からは運動と2 者間コミュニケーションのつながり、自閉スペクトラム症研究からは共感の欠如ではなく個人間の類似性の問題であるという二重共感仮説が提唱されている。また、このようなコミュニケーションが社会の中での文化伝達に果たす役割は動物実験からも検証がなされている。さらに、これらの知見から介入研究や障害観の再考を目指す動きもある。本シンポジウムでは、話題提供として実験心理学、認知神経科学、哲学から双方向的なコミュニケーションに寄与する心理・神経科学基盤に迫る。さらに、指定討論では、これらの研究の限界や障害を持つ方の日常との乖離を指摘し、社会認知科学の展望について議論する。