[archive] 2015年度から現在まで

社会能力の発達過程のモデル化を目指した2個体同時計測

2014年までの研究を基盤に、社会能力の発達過程のモデル化を目指して「自他相同性に始まり向社会行動に至る社会能力の発達は、相互主体性を介した共有による学習過程である」との仮説を証明することを目的として、研究を進めた。小池耕彦助教を中心として、2個体間の社会的相互行動の神経基盤を、2個体脳の相互作用により形成される1つのネットワークモデルとして定量化することにより、電気現象と脳血流現象で捉えた脳活動と行動の対比づけを進めている。

 

7TMRIの導入と運用

さらに社会的相互行動を担う個体内ネットワークの解剖学的、機能的基盤の詳細をヒトで明らかにすること、更には非ヒト霊長類を直接比較することを目的として、超高磁場(7T)MRIを導入した。2014年4月に、米国NIHで超高磁場MRIの研究を長らく行ってきた福永雅喜博士を部門の准教授に迎えて、7TMRの設置調整を進めて2015年度より運用を開始した。社会脳の神経基盤の詳細を明らかにするために、7TMRIを用いたヒト-非ヒト霊長類の種間比較を行うための技術要件を検討した。

 

Imaging geneticsへの展開

社会能力発現の脳神経基盤については、その破綻の理解から進める戦略も重要であり、近年精神疾患をターゲットとして、そのゲノム情報と中間表現型との関係を解析する研究が、大規模データを用いて進められている。当部門においても、福永准教授が中心となって、精神疾患に関する多施設大規模データ解析を進めている。

 

機能的MRIと深層学習の融合

脳機能理解へ向けた有力な戦略としてコンピュータアルゴリズムによる機能再構成がある。201年4月に近添淳一准教授を生体機能情報解析室(室長・定藤兼任)に迎え、密接な連携・協力の下で深層学習と機能的MRIを融合させることにより、社会行動の決定要因として重要な個人の嗜好を模倣する人工知能の作成に取り組んでいる。

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