4. 上丘局所神経回路:サルにおける上丘浅層―中間層間結合の証明
私たちの研究グループでは、これまでのげっ歯類の上丘スライス標本において、視覚信号の入力層である浅層と運動指令の出力層である中間層の間に興奮性結合が存在すること、さらにこの浅総から中間層への経路の信号伝達がGABA作動性抑制の減弱によって顕著に増強されることを見出しました(Isa et al. J. Neurosci, 1998、「これまでの主な成果:1」)。そしてさらにこの結果を麻酔下のラットにおいて上丘の異なる層からのフィールド電位記録とbicucullineの上丘内局所投与実験によって確認しました(Katsuta & Isa, Neurosci Res 2003、「これまでの主な成果:9」)。現在我々はこのような上丘浅層から中間層への興奮性結合とGABA系によるその経路の信号伝達調節機構がサルにも存在しているかを確認するための実験を麻酔下のサルにおいても行っています。イソフルレンないしはフェンタニルによって麻酔し、非動化、人口呼吸下のマカクザルにおいて上丘の異なる層からフィールド電位を記録して、フラッシュ光ないしは視交叉の電気刺激に対する応答を記録する。そして上丘中間層にGABAA受容体のantagonistであるbicucullineを微量注入し、それによって中間層ニューロンがこれらの刺激に対して興奮性応答をするようになるかを解析しています。
 


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