5. 上丘中間層のGABAニューロンの電気生理学的・形態学的特徴
げっ歯類の上丘スライス標本でのこれまでの成果のひとつは、上丘局所神経回路におけるGABA作動性抑制が減弱すると中間層ニューロンはバースト発火をする、ということでした。しかし、これまでに上丘中間層にはどのようなGABA作動性抑制ニューロンが存在しているかは明らかになっていません。
そこで我々は現在上丘中間層のGABA作動性ニューロンの電気生理学的、形態学的特徴を解析しています。そのために我々は柳川らによって開発されたGAD67-GFP ノックインマウスを用いて実験を行っている。このマウスでは、GABA作動性ニューロンはGFPを発現しているので、スライス標本においてGFP蛍光を発するニューロンから記録を行えば、GABAニューロンであるといえます。このような利点を利用して中間層GABA作動性ニューロンの解析を行ってきました。その結果、電流通電に対する発火応答については多くのニューロンがfast spikingないしはburst spiking patternを示すことが明らかになりました。そして細胞内にbiocytinを注入して可視化された細胞体・樹状突起・軸索の形態から、GABA作動性ニューロンには1)細胞体周辺の中間層内に軸索投射が限局するもの、2)中間層内で水平方向に長い軸索投射を有するもの、3)浅層ないしは深層に軸索投射する細胞、4)反対側上丘に投射する細胞、5)上丘外、特に腹側の網様体や外側に投射して下丘に投射する投射細胞に分類されることが明らかになりました。それぞれがどのような機能を有しているかを今後検討していく必要があると考えています。
 


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