2光子励起の応用によるin vivo imaging
(原理)
 2光子励起法は、超短パルスレーザーを用いて蛍光物質を励起させる方法です(図1、2参照)。1光子励起に比べ発生確率の極端に低い2光子励起を近赤外領域の超短パルスレーザーによって引き起こすことにより、従来よりも(1)より低浸襲的に(2)より深部の構造物を、観察できます。

(実際の観察〜その1例〜)
 私たちの研究室では、遺伝子改変により先天的に蛍光タンパクを神経細胞に発現しているマウスを用いて、in vivoにおける神経回路の観察を行っています(図3参照)特筆すべきはこの図がすべて、麻酔をかけられた状態で“生きている”マウスから得られたものであるということです。当然、同じ動物の同じ神経細胞を1週間後、1ヵ月後と、時間が経過した後でも観察できます。
エピローグ  〜次のステージへ〜
 生活環境などの外的要因や病気などの内的要因による脳機能の長期変化を評価するためには、同一個体における連続的な観察が不可欠ともいえるでしょう。特に、行動、記憶、感覚などの個体の脳機能発現の基盤となる神経回路は、発達期や成熟期のみならず、障害後の脳機能回復にともなって大きく変化することが予想されます。今後、この2光子励起レーザー顕微鏡を用いた研究を通じて、さまざまな脳機能における疑問を解明していく予定です。