平成14年度機械工作基礎講座

アクリル樹脂製
パッチクランプ用チェンバー


 単一細胞などの試料を用いるパッチクランプ法は、細胞膜において単一(あるいは複数個)のイオンチャネル分子の活動を、そこを通過するイオン電流として記録する方法で、その後いわゆるギガ・シール法の確立といくつかのバリエーションの追加開発により、1980年以降多くの細胞系に適用されるようになった。このような実験では、細胞などの試料を生かした状態で維持することが重要で、そのためには電極操作がしやすく、溶液交換が速やかに行われる専用のチェンバーが必要となる。しかし、市販品には適当なものが少なく、各研究室で独自のチェンバーを製作・使用しているのが現状である。

 今回は、機能協関部門でいろいろ試作・改良してきた結果、溶液交換操作が容易でしかも試料付近の溶液が速やかに交換できるチェンバーの製作(参照:生理学研究所技術課報告 第11号 (1996))を通して、機械工作に必要とされる基礎的知識を習得する。


1.チェンバー本体

(1)図面を元に、仕上げ寸法より5mm程度大きくなるように横切盤を用いて材料取りをする。










(2)はじめ材料を垂直方向に保持し、フライス盤を用いて基準となる面の面出しを行う。その後材料をひっくり返して反対面を基準面と平行になるように切削し、所定の寸法まで切削する。



(3)次に材料を水平方向に保持し、平行面に対して垂直となる面の切削を行う。反対の面も同様の方法で、所定の寸法まで切削する。



(4)顕微鏡に固定する際のねじ穴部分を、ハイトゲージを用いてけがく。



(5)ねじ穴部分のけがき線の交点にNCフライス(CAMM−3)の刃物中心線を合わせる。



(6)CAMM−3専用ソフトウェア モデラート−3の自由形状入力切削を選択し、φ6のエンドミルで加工する部分の形状などを入力する。



(7)Z方向の位置合わせ後、切削確認をすると入力形状に従って加工が行われる。



(8)同じく自由形状入力切削を選択し、φ5のエンドミルで加工する部分の形状などを入力する。



(9)Z方向の位置合わせ後、切削確認をすると入力形状に従って加工が行われる。



(10)モデラート−3の規格形状メニュー 13(2.D斜面R四角形)を選択し、必要な形状などを入力する。



(11)入力パラメータの確認後、「Y」キーを押すと傾斜のついた四角形を切削します。




(12)次に自由形状入力切削を選択し、φ3のエンドミルで加工する部分の形状などを入力する。



(13)Z方向の位置合わせ後、切削確認をすると入力形状に従って加工が行われる。



(14)廃液回収用貫通穴をあけた後、細胞の設置された部分と廃液吸引部とをつなぐ溝を裏側に掘る。



(15)薬液が滑らかに細胞部分に到達するように薬液注入部に傾斜をつける。



(16)プラスチック用ポンチでケガキ線の交点部分にドリル先端部分が収まる凹みを作る。



(17)ボール盤にドリルを取り付けて顕微鏡固定用ネジの直径の穴をあける。



2.廃液パイプ

(1)バイトの刃先高さを工作材料の回転中心に合わせて固定し、端面を切削後、外形を所定の寸法まで切削する。



(2)廃液自然落下用穴に差し込む段差部分を切削する。



(3)センタードリルを用いてドリル先端部が収まる凹みを作る。(スターティング)



(4)廃液が通る穴をドリルを使用してあける。



(5)必要部分の面取り後、突っ切りバイトを用いて必要な長さ分切り取る。



(6)突っ切り部分の端面を所定の寸法まで切削する。



(7)突っ切りバイトで面取りを行う。



3.バキュームパイプ固定具

(1)端面を切削後、外形を所定の寸法まで切削する。



(2)センタードリルを用いてドリル先端部が収まる凹みを作る。(スターティング)



(3)廃液吸引パイプが通る穴をドリルを使用してあける。



(4)突っ切りバイトで面取りを行う。



(5)突っ切バイトを用いて必要な長さプラス0.5mmに切断する。



(6)突っ切り面を所定の寸法まで切削する。



(7)突っ切りバイトで面取りをする。



(8)チェンバーに固定するために、フライス盤を用いて平らな面を一面作る。



4.薬液導入用スライド部品

(1)帯鋸盤を用いて縦横5mm位大きく材料取りを行う。



(2)はじめ材料を垂直方向に保持し、フライス盤を用いて基準となる面の面出しを行う。その後材料をひっくり返して反対面を基準面と平行になるように切削し、所定の寸法まで切削する。



(3)次に材料を水平方向に保持し、平行面に対して垂直となる面の切削を行う。反対の面も同様の方法で、所定の寸法まで切削する。


(4)材料の中央部に凹側のアリ溝を作るため、中央にケガキ線を入れる。



(5)ケガキ線の位置にフライス盤の刃物回転中心がくる様にセットする。



(6)中央部にエンドミルでアリ溝深さより深い溝を切削する。



(7)アンギュラーカッターを用いて凹側のアリ溝を切削する。



(8)同じくアンギュラーカッターを用いて凸側のアリ溝を切削する。



(9)凹側のアリ溝と合わせながら切削し、今回は使用法を考慮して少しガタがある位に製作する。



(10)薬液注入用パイプが入る穴の位置をハイトゲージを用いてけがく。



(11)プラスチック用ポンチでケガキ線の交点部分にドリル先端部分が収まる凹みを作る。








(12)ボール盤にドリルを取り付けて薬液注入パイプの直径の穴をあける。

































































































































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