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自閉症スペクトラム障害者が感じる恥ずかしさ:他者からの影響を受けにくい

2016年04月20日 研究報告

自閉症スペクトラム障害(ASD)者は、他者の視線に敏感に反応するのが苦手と言われています。このようなASD者の特性は、日常的な場面においてどのような社会的困難さにつながるのでしょうか。本研究では、写真写りの悪い自分の顔写真を見た場合に感じる「恥ずかしさ」に着目し、これが他者の視線によってどのように影響を受けるのかを調べました。機能的MRIを用いて、ASD者および健常者が、ひとりで自分の顔写真を見ているときと、他者と一緒にそれらを見ているときの脳活動を測定しました。結果、ASD者では健常者に比べて、他者が見ていることが恥ずかしさに及ぼす影響が少ないことが分かりました。健常者では、他者が見ている場合に、他者の心を推し量るのに重要な脳部位と、情動に関わる脳部位との連携が高まり、自分の顔を見たときに感じる恥ずかしさが高まることが確認できました。それに対して、ASD者ではこうした一連の他者の視線による影響が見られないことが明らかとなりました。ASD者にとって、他者からくる情報を取り入れながら、自分に関する情報と統合して処理することが困難であると考えられます。

 

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共同研究者情報

大阪大学大学院工学研究科

特任講師 守田知代(もりた ともよ)

科研費・助成金情報

本研究は、科学研究費補助金(20119001, 23119725, 21220005, 25293248, 15H01846)、武田科学振興財団,および脳科学研究戦略推進プログラムの補助を受けて行われました。

 

リリース元

Title: Neural correlates of emotion processing during observed self-face recognition in individuals with autism spectrum disorders

Authors: Tomoyo Morita, Hirotaka Kosaka, Daisuke N. Saito, Takeshi Fujii, Makoto Ishitobi, Toshio Munesue, Keisuke Inohara, Hidehiko Okazawa, Ryusuke Kakigi, Norihiro Sadato

Journal: Research in Autism Spectrum Disorders

Issue: 26

Date: 10 March 2016

DOI: 10.1016/j.rasd.2016.02.011

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