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ノロウイルスの治療に光

2016年04月25日 研究報告

 サポウイルスはノロウイルスと並ぶ下痢を引き起こすウイルスの一つで、時に幼児に感染が広がり易い特徴を持っています。これらウイルスには多くの遺伝子型(突然変異体)があり、現在のところ万能な治療薬がありません。そこで、症状を少しでも軽減するためのより汎用性の高いウイルス中和抗体の開発が急務とされています。その研究の中で、遺伝子型GI.1とGI.5とを部分的に組み合わせたキメラウイルスは、より多くの抗体に反応することがわかってきました。

 そこで、我々の共同研究グループでは、これらのキメラウイルスの殻(ウイルス様粒子:VLP)を作製して、その構造をクライオ電子顕微鏡を使って8.5Åという解像度で解析し、さらにホモロジーモデルングという手法を使ってVLPの分子構造を明らかにしました。その結果、サポウイルスでは、外殻と内殻の間に少し隙間があり、外殻に加えて内殻にも多くの抗体の結合部位を持つことがわかりました。

 これらの結果は、世界で初めてサポウイルスの殻の構造を明らかにしただけでなく、より汎用性の高い中和抗体の開発に向けての大きな知見となりました。2-image-miyazaki_et_al.png

 

科研費・助成金情報

the CHS Foundation, Heidelberg

厚生労働科学研究費

JSPS/NSF East Asia and Pacific Summer Institute Fellowship

生理研計画共同研究

共同研究情報

研究者名:Grant S. Hansman

研究機関名:University of Heidelberg and the DKFZ

研究者の所属講座名、部門名:Schaller Research Group

 

リリース元

Title: Antigenic and Cryo-Electron Microscopy Structure Analysis of a Chimeric Sapovirus Capsid

Authors: Naoyuki Miyazaki, David W. Taylor, Grant S. Hansman, Kazuyoshi Murata

Journal: Journal of Virology

Issue: 90:2664–2675

Date: 2015.12.23 online

URL (abstract): http://jvi.asm.org/content/90/5/2664.abstract?related-urls=yes&legid=jvi;90/5/2664

DOI: 10.1128/JVI.02916-15

 

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