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ポリマーの種は水に溶けても種だった

2016年04月25日 研究報告

 

 高分子科学の世界では、これまでシード乳化重合には、ポリスチレンなどの固体状の高分子微粒子をシード(種)としてもちいることが一般的でしたが、信州大の鈴木らの研究グループでは新しい手法として、水和性のヒドロゲル微粒子をシードとしたシード乳化重合について研究を行っています。この場合、油溶性モノマーがシード内部にまで拡散するため、シード粒子表面だけでなく、その内部においてもポリマーが形成されると予想されますが、その詳細については明らかになっていませんでした。

 今回、我々の共同研究グループは、メタクリル酸を共重合したpoly(NIPAm-co-methacrylic acid)ゲル微粒子をシードとして用いてスチレンの乳化重合を行い、この構造をクライオ電子顕微鏡を用いて水和した状態のまま観察することに成功しました。その結果、予想に反してポリスチレン微粒子はシードゲル微粒子の表面に間隔をかけて複合化していることがわかりました。

 これらの結果は新しい素材やバイオミメティックなシステムの開発に応用されます。

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共同研究情報

研究者名:村田和義

研究機関名:生理学研究所

研究者の所属講座名、部門名:脳機能計測・支援センター

研究者名:小林千玲、渡邊拓巳、呉羽拓真、鈴木大介

研究機関名:信州大学

研究者の所属講座名、部門名:繊維学部

 

科研費や補助金、助成金などの情報

MEXT grant 26102517

生理研計画共同研究

リリース元

Title: Localization of Polystyrene Particles on the Surface of Poly(N‑isopropylacrylamide-co-methacrylic acid) Microgels Prepared by Seeded Emulsion Polymerization of Styrene

Authors: Chiaki Kobayashi, Takumi Watanabe, Kazuyoshi Murata, Takuma Kureha, and Daisuke Suzuki

Journal: Langmuir

Issue: 32:1429-1439

Date: 2016.1.21 published

URL (abstract): http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.langmuir.5b03698

DOI: 10.1021/acs.langmuir.5b03698

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