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細胞間の連絡はかつてはブロードバンド?

2016年04月25日 研究報告

 細胞間の低分子物質の移動は、その間に形成されたギャップ結合とよばれる膜タンパク質どうしのつながりにより行われています。これには脊椎動物がもつコネキシンと無脊椎動物がもつイネキシンが知られています。これまでの構造研究の結果から、コネキシン1分子は、4回の膜貫通αヘリックス構造からなり、これが6分子集まって細胞表面にチャネルを形成し、さらにこれが隣接する細胞のコネキシン6分子と合わさって合計12分子でギャップ結合を作っていることがわかっています。一方で、イネキシンの構造については、コネキシンと似たものであろうと想像されてはいましたが、その詳細はほとんどわかっていませんでした。

 我々の共同研究グループでは、このイネキシンの構造を明らかにするために、線虫のイネキシンを細胞に発現させて精製し、その二次元結晶を作製して、これをクライオ電子顕微鏡を用いて構造解析しました。その結果、分解能約10 Åの三次元像を得ることに成功しました。得られた構造を見ると、意外にもイネキシンは8分子が一つの細胞膜上でチャネルを形成し、これが互いに結合した合計16分子でギャップ結合を作っていることがわかりました。チャネルの大きさもコネキシンに比べるとはるかに大きいことがわかりました。

 本結果は、生物進化の過程で、ギャップ結合がどのように形成されてきたかを調べるヒントになるとともに、今後この構造をもとにその機能の違いについても明らかにされるであろうと期待されます。

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科研費・助成金情報

MEXT

NEDO

AMED

創薬等支援技術基盤プラットフォーム

生理研計画共同研究

共同研究情報

研究者名:村田和義

研究機関名:生理学研究所

研究者の所属講座名、部門名:脳機能計測・支援センター

研究者名:大嶋篤典、松澤朋寛、谷一寿、藤吉好則

研究機関名:名古屋大学

研究者の所属講座名、部門名:細胞生理学研究センター

 

リリース元

Title: Hexadecameric structure of an invertebrate gap junction channel

Authors: Atsunori Oshima, Tomohiro Matsuzawa, Kazuyoshi Murata, Kazutoshi

Tani, Yoshinori Fujiyoshi

Journal: Journal of Molecular Biology

Issue: 428:1227-1236

Date: 2016.2.13 online; 2016.3.27 publish

URL (abstract): http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022283616001169

DOI: 10.1016/j.jmb.2016.02.011

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