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幸せと脳との関連が明らかに

2016年04月26日 研究報告

 世界中の多くの人々が「幸せ」について考えていると思います。しかしながら、幸せと脳との関連については未解明な部分が多く残されていました。今回、心理生理学研究部門 定藤規弘教授と小池耕彦特任助教、愛知医科大学 松永昌宏講師らの研究グループは、磁気共鳴画像装置 (Magnetic Resonance Imaging:MRI)を用いて、脳の構造的解析と機能的解析を組み合わせることで、これまでにない側面から脳と幸せとの関連を明らかにすることを試みました。

 まず構造的MRIを用いて、私たちが日頃感じている幸福感と脳の構造との関連を調べました。その結果、幸せだと思っている人ほど吻側前部帯状回(ふんそくぜんぶたいじょうかい)と呼ばれる脳領域の体積が大きいことが分かりました。次に、機能的MRIを用いた実験において、美味しいものを食べた時のような幸せな情景をいくつか思い浮かべてもらうことで実験参加者に幸せな気分になってもらい、その時の脳活動を観察しました。その結果、吻側前部帯状回の体積が大きい人ほど、幸せな情景を思い浮かべた際の吻側前部帯状回の活動が大きく、幸せな気分になりやすいことも分かりました。

 今回の研究において、幸せに関連する脳領域を構造面・機能面から調べた結果、幸せと吻側前部帯状回との関連が明らかになりました。吻側前部帯状回は、楽しい過去の記憶の想起や、明るい未来を想像するために必要な脳領域だと言われています。今回の研究成果は、幸福感を高めるために私たちは何をしたらよいのだろうか、という多くの人が考えていることに対する答えにつながる重要な成果であると考えられます。

 

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科研費・助成金情報

本研究は文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として実施され、科学研究費補助金の補助を受けて行われました。

共同研究者情報

講師 松永昌宏

愛知医科大学医学部衛生学講座

リリース元

Title: Structural and functional associations of the rostral anterior cingulate cortex with subjective happiness

Authors: Masahiro Matsunaga, Hiroaki Kawamichi, Takahiko Koike, Kazufumi Yoshihara, Yumiko Yoshida, Haruka K. Takahashi, Eri Nakagawa, Norihiro Sadato

Journal: NeuroImage

Issue: 134, 132-141

Date: July 1, 2016

URL (abstract): http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053811916300544

DOI:  http://dx.doi.org/10.1016/j.neuroimage.2016.04.020

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