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マラリア病原虫は赤血球の中で温々と増えます

2016年04月25日 研究報告

 マラリア原虫は、蚊を媒介として人を含む脊椎動物の赤血球に寄生し、発熱や貧血といった病気を引き起こすことが知られています。マラリア原虫が赤血球に侵入すると、原虫から構造物が放出されて赤血球自体の構造を変化させ、これを使って外界との物質交換を行いながら生育すると考えられています。そして、最終的に増殖して、赤血球を破壊して血液中に飛び出して行きます。しかし、実際どのようにして原虫が赤血球内で成長していくのかは不明でした。

 我々の共同研究チームは、その詳細な構造変化を連続ブロック表面走査電子顕微鏡(SBF-SEM)を用いて解析しました。その結果、寄生したヒトマラリア原虫は、外部との間に特別な構造を作らず、赤血球の細胞質を通して外界との物質交換を行っていることがわかりました。また、感染された赤血球は、最初に体積が増えますが、原虫の増殖に伴い徐々に減少することがわかりました。このことは、原虫が赤血球の細胞質を通して、外界から栄養分を吸収し、老廃物などは宿主の外に排出していることが初めて明らかになりました。

 これらの事実は、将来、原虫の予防や治療薬の開発のために重要な知見になると考えられます。

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科研費・助成金情報

MEXT grant 23117008; 24590508

生理研計画共同研究

共同研究情報

研究者名:宮崎直幸、村田和義

研究機関名:生理学研究所

研究者の所属講座名、部門名:脳機能計測・支援センター

研究者名:坂口美亜子、金子修

研究機関名:長崎大学

研究者の所属講座名、部門名:熱帯医学研究所

研究者名:Hisashi Fujioka

研究機関名:Case Western Reserve University

研究者の所属講座名、部門名:School of Medicine

リリース元

Title: Three-dimensional analysis of morphological changes in the malaria parasite infected red blood cell by serial block-face scanning electron microscopy

Authors: Miako Sakaguchi, Naoyuki Miyazaki, Hisashi Fujioka, Osamu Kaneko, Kazuyoshi Murata

Journal: Journal of Structural Biology

Issue: 193:162-171

Date: 2016.1.7 online; 2016.3 publish

URL (abstract): http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1047847716300028

DOI: 10.1016/j.jsb.2016.01.003

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