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他者との関わりの神経基盤

2016年06月01日 研究報告

 なぜ、私たちは他の人と関わりあいながら生活をしているのでしょうか?他の人と関わること自体が楽しいからと考える人もいらっしゃるかと思います。しかしながら、他の人との関わりにおいて、脳がどのように処理をしているのかということは十分わかっていませんでした。今回、心理生理学研究部門 定藤規弘教授、菅原翔研究員、濱野友希大学院生、首都大学東京大学院人間健康科学研究科 川道拓東らのグループは機能的磁気共鳴画像法(fMRI: functional Magnetic Resonance Imaging)により、他の人との関わりが脳でどのように処理されているかを調べました。

 実験では、実験参加者に他の参加者との間でコンピュータ上でのキャッチボールを行ってもらいました。キャッチボールをある程度すると、実験参加者にボールが集まるようにしました。すると、実験参加者はボールが集まる状況になると、ボールが集まる前と比較して楽しかったと回答しました。また、そういった状況下では、金銭をもらったり褒められたりする時に活動する腹側線条体という場所が活動しました。こうした結果を通じて、ヒトは他の人との関わり自体を報酬(喜び)ととらえているということを脳機能イメージング分野からも確認しました。

 この結果は、私たち人間が、例えば何かをもらえるからという即物的な動機がなかったとしても、ただ単純に人と関わりたいという動機を持っているということを示した結果であると言えます。このような人との関わりの動機についての知見を得ることは、私たちは他の人とどのように関わっていくべきかという多くの人が一生涯に渡って持ち続ける疑問に示唆を与えるもので、教育面などに寄与する結果であると考えています。

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共同利用研究者情報

川道拓東 首都大学東京 人間健康科学研究科
河内山隆紀 ATR脳活動イメージングセンター

科研費や補助金、助成金などの情報

This study was partly supported by Grant-in-Aid for Scientific Research (S) no. 21220005 (N.S.), Grant-in-Aid for Scientific Research (A) no. 15H01846 (N.S.), and by Grants-in-Aid for Young Scientists (B) no. 25750407 (H.K.) and no. 15K21602 (S.K.S.) from the Japan Society for the Promotion of Science.

 

リリース元

Title: Increased frequency of social interaction is associated with enjoyment enhancement and reward system activation.

Authors: Kawamichi H, Sugawara SK, Hamano YH, Makita K, Kochiyama T, Sadato N.

Journal: Scientific Reports

Issue: 6:24561

Date: 2016/04/19

URL (abstract): http://www.nature.com/articles/srep24561

DOI: 10.1038/srep24561.

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