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かゆみ止め成分クロタミトンの作用の仕組み

2018年02月26日 研究報告

 クロタミトンは昔からかゆみ止めとして使われている成分で、薬局で売られている多くの塗り薬に入っています。しかし、このクロタミトンがどのような仕組みでかゆみを止めるのかは分かっていませんでした。また、最近では皮膚や神経で温度や化学物質のセンサーとして働くTRPチャンネルというタンパク質が、かゆみを伝える働きを持つことが分かってきています。

 そこでクロタミトンのTRPチャンネルに対する働きを調べたところ、暖かさのセンサーとして知られているTRPV4の働きを弱めることが分かりました。また、ネズミにTRPV4を活性化する成分を注射すると、その場所を掻きはじめます。この掻き行動はクロタミトンを皮膚に塗っておくことで大きく減らすことが出来ました。つまり、クロタミトンはTRPV4の働きを弱めることによりかゆみを止めていると考えられます。

 また、この研究を進める中でクロタミトンをTRPV4に作用させた後に急速に洗い流した場合はTRPV4の働きがむしろ強まることも発見しました。TRPチャンネルは細胞の外から中へイオンを通す通路として働きますが、クロタミトンを急速に洗い流した場合はこの通路がより広くなっていることが分かりました。このような通路の拡大が普段のクロタミトン使用時に起こっているかは分かりませんが、少なくともある条件のときにはTRPV4が通路を広げることでその働きを強めることがあることが分かりました。

 このような研究はよりよいかゆみ止め薬を作っていく上で重要な情報になると考えられます。

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共同研究情報

山野井 遊 株式会社 池田模範堂

科研費や補助金、助成金などの情報

This work was supported by the Japanese Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology Grants 16K21691(to H. K.), 15H02501 (to M. T.), and 15H05928 (to M. T.).

リリース元

Title: Transient receptor potential vanilloid 4 (TRPV4) channel as a target of crotamiton and its bimodal effects

Authors: Hiroki Kittaka & Yu Yamanoi & Makoto Tominaga

Journal: Pflugers Arch - Eur J Physiol

Issue: October 2017, Volume 469, Issue 10pp 1313–1323

Date: Received: 21 January 2017 /Revised: 2 May 2017 /Accepted: 12 May 2017

URL (abstract): https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28612138

DOI:  10.1007/s00424-017-1998-7

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