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ショウジョウバエ幼虫の温度走性を評価する温度勾配装置の開発

2018年07月02日 研究報告

 あらゆる生物は普遍的な環境因子である温度変化の中で生育しており、それぞれに適した温度域とそれを感知するメカニズムを備えています。キイロショウジョウバエは基本的に24℃付近を好みますが、幼虫期の限られた期間に18℃を好むようになり、それには光を感じるセンサーとして知られていたロドプシンが、TRPA1と呼ばれるイオンチャネルの上流で働くことをこれまでに報告してきました(Sokabe et al., Cell Rep. 17(2): p336-44, 2016)。


 本論文では、その研究に用いた温度勾配装置の作製方法とショウジョウバエ幼虫サンプルの準備について詳細に解説しています。この装置は、2つのアルミブロックをそれぞれ恒温槽につなぎアルミプレートでブリッジすることで、アルミプレート上にリニアな温度勾配を形成します。この装置を用いることで、生理的な範囲で様々な条件の温度を設定することができ、ショウジョウバエ幼虫や線虫などの小型動物の温度走性を簡便に評価することが可能です。実際に、温度走性に関わる遺伝子が変異した株ではコントロールと異なる温度走性を示すことを実証しました。連続的な温度変化の中での個体分布を短時間で評価できるため、2つの温度域を選択するシステムよりも個体の温度走性を効率よく見るのに適しています。


 定量的な温度走性評価を高いスループットで必要とする研究への利用と応用が期待されます。Figuresokabe.jpg

温度勾配装置とショウジョウバエ幼虫温度走性の例

 

 

共同研究者情報

研究者名:Jiangqu Liu, Craig Montell
研究機関名:University of California, Santa Barbara
研究者の所属講座名、部門名:Dept. of Molecular, Cellular and Developmental Biology

 

科研費・補助金、助成金情報

新学術領域「温度生物学」
 

リリース元

Title: A Temperature Gradient Assay to Determine Thermal Preferences of Drosophila Larvae
Authors: Jiangqu Liu, Takaaki Sokabe, Craig Montell
Journal: Journal of Visualized Experiments
Issue: (136) e57963
Date:6/25/2018
URL (abstract): http://www.jove.com/video/57963
DOI: 10.3791/57963
 

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