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視床下核の活動は、ハイパー直接路と関接路を経由して大脳皮質からの調節を受ける

2020年11月09日 研究報告

大脳の中心部に大脳基底核という神経細胞の集団があり、パーキンソン病などの脳の病気に関わっています。その中の一つに視床下核があり、その変調により運動障害が現れることや、逆にパーキンソン病の際に視床下核に電極を埋め込み24時間刺激を続けると、パーキンソン病が治療できること(脳深部刺激療法)が知られており、この視床下核の機能を調べることは重要です。今回、私たちはニホンザルを用いて、視床下核の神経活動を記録しながら神経伝達を遮断する薬を大脳基底核に微量注入することにより、大脳皮質からの情報が、大脳皮質からの直接連絡であるハイパー直接路と、大脳基底核の別の部位である被殻と淡蒼球外節を経由する間接路によって、時間差をもって視床下核に到り、その活動を調節していることを明らかにしました。 

大脳基底核の役割やパーキンソン病をはじめとする病気の病態生理、さらには脳深部刺激療法などの治療メカニズムを理解するのに役立ち、治療法の改良や新たな治療法の開発に繋がります。

画像1.jpg大脳皮質からの神経情報は、ハイパー直接路と間接路(途中に被殻、淡蒼球外節を経由する)を介して、視床下核に到ることを示す模式図。

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新学術領域研究(研究領域提案型) 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解、科研費、CREST、 AMED、文部科学省奨学金

リリース元

Title: Cortical Control of Subthalamic Neuronal Activity through the Hyperdirect and Indirect Pathways in Monkeys
Authors: Zlata Polyakova, Satomi Chiken, Nobuhiko Hatanaka, and Atsushi Nambu
Journal: The Journal of Neuroscience
Issue: 40(39)
Pages: 7451-7463
Date: September 23, 2020
URL (abstract): https://www.jneurosci.org/content/40/39/7451
DOI:  https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0772-20.2020

 

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