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女性ホルモンが、免疫細胞の働きに関わる「THIK-1チャネル」を阻害する仕組みを解明

2026年08月06日 研究報告

概要

研究チームは、脳内のミクログリアや全身のマクロファージといった免疫細胞に発現するカリウムチャネルであるTHIK-1チャネルが、女性ホルモンの一種である17βエストラジオールによって強く抑制(40 %)されることを明らかにしました。また、ヒトTHIK-1チャネルの多様体(遺伝的なタイプの違い)によっては、体内に存在する程度のわずかな濃度のエストラジオールであっても、一定の抑制効果(約12%)を受けるタイプが存在することも発見しました。

研究成果

THIK-1チャネルは、ミクログリアやマクロファージに発現し、細胞機能の制御に関与するカリウムチャネルです。これまで、ステロイドである17βエストラジオール、コレステロール、プロゲステロンが、それぞれ異なるカリウムチャネルの機能を制御するという報告がなされていますが、ステロイドによるTHIK-1チャネルへの影響は分かっていませんでした。研究グループは「ステロイドがTHIK-1チャネルの機能を制御しているのではないか」という仮説のもと、その可能性について検討しました。 
 
7種のステロイド(10 μM)についてマウスTHIK-1チャネルに対する作用を調べたところ、エストラジオールが最も強い(約40%)電流抑制作用を示すことがわかりました。また、THIK-1チャネルの活性制御(開閉)に重要な部位のアミノ酸を、別のアミノ酸(アラニン)に置き換えると、抑制作用が消失しました。これらの結果から、エストラジオールはTHIK-1チャネルの活性制御機構に作用することで、その働きを抑制していると考えられます。
 
一方、実験で使用した濃度(10μM)は、エストラジオールの生理的濃度の数万倍も濃いため、この阻害作用は、通常のTHIK-1チャネルでは働いていないと思われます。しかし、ヒトの遺伝子のタイプの違いによって、THIK-1チャネルにも違い(多様体:variant)が見られます。そこで研究グループは、体内に存在する程度の濃度(生理的濃度)でも抑制を受けるタイプが存在するかどうか調べました。その結果、ヒトTHIK-1チャネルの多様体と同じようにアミノ酸残基を変化させたチャネルの一つ(T237S)の働きが、生理的濃度のエストラジオールにより、12%ほど抑制されることが明らかとなりました。この結果により、多様体においては、エストラジオールが何らかの役割を持つ可能性が示されました。また、多様体によりステロイドの作用が大きく異なるという知見は、他のチャネルに対する薬剤等の効果を考える上でも重要であると思われます。
 
 
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科研費や補助金、助成金など

科研費基盤(C)21K06793(立山)
 

論文情報

Title:  Inhibitory effect of 17β-estradiol on the THIK-1 channel
Authors: Michihiro Tateyama, Yoshihiro Kubo
Journal: PLOS ONE
Date: July 17, 2026
URL: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0353757
DOI: 10.1371/journal.pone.0353757
 
 
 

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