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生体膜研究部門

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シナプス伝達の基本原理とその異常で引き起こされる脳疾患の分子病態機構の解明

 本研究部門の研究目標は,脳高次機能の基本機能単位であるシナプス伝達を制御する中心的分子機構,さらには脳病態におけるその破綻機構について明らかにすることです。具体的には,記憶や学習の分子基盤をなすと考えられているAMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)を介したシナプス伝達の制御機構に着目しています。我々はこれまでに,特異性と定量性を重視した生化学的手法に基づいて,AMPA受容体制御分子である,パルミトイル化脂質修飾制御酵素とてんかん関連リガンド・受容体LGI1・ADAM22を独自に発見しました(図A)。また,超解像顕微鏡イメージングと独自のパルミトイル化蛋白質の可視化プローブを組み合わせて,シナプス内の蛋白質ナノドメイン構造を発見しました(図A,B)。パルミトイル化修飾率の定量的解析法も開発しました(図C)。さらに,マウス遺伝学,電気生理学などを組み合わせて,これらAMPA受容体制御分子やナノドメインの生理機能と脳病態(てんかんや自己免疫性脳炎)における機能破綻のメカニズムの一端を先導的に明らかにしてきました(図D)。今後は,これらAMPA受容体制御分子がいかにしてシナプス伝達の可塑的側面,さらにはマウス・ヒトの記憶,学習,認知機能を制御するのかを明らかにします。
 本研究部門では,下記のような独自あるいは最先端の手法を用いて研究を進めています。また,これらの手法を国内外の研究室と広く共有して,多くの共同研究を展開しています。

1)脳内蛋白質複合体の精製と構成分子の同定
2)パルミトイル化酵素・基質ペアのスクリーニング
3)蛋白質のパルミトイル化修飾率の定量的解析
4)超解像顕微鏡を用いたシナプス観察
5)LGI1変異を有する家族性てんかんモデルマウスの解析

 共に興味を分かち合い,世界に情報発信したいと望む若者を募集しています。
 

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図 (A)独自に発見したAMPA受容体制御分子: パルミトイル化酵素DHHC,脱パルミトイル化酵素ABHD17とてんかん関連リガンド・受容体LGI1・ADAM22:パルミトイル化PSD-95で構成されるナノドメイン。(B)パルミトイル化PSD-95特異的プローブと超解像顕微鏡によるポストシナプス新規ナノドメインの発見。(C)パルミトイル化修飾率の定量的解析法。(D)家族性てんかんのモデルマウスの作成と解析: LGI1 E383A変異体蛋白質は,蛋白質構造異常によって分泌が低下し,ADAM22受容体との結合量が低下する。

代表的な論文情報

*Yamagata A, Miyazaki Y et al., Nat. Commun. 1546 (2018)
*Yokoi N, Fukata Y et al., J. Neurosci. 36, 6431 (2016)
*Yokoi N et al., Nat. Med. 21, 19 (2015)
*Fukata Y et al., J. Cell Biol. 202, 145 (2013)
*Fukata Y and Fukata M, Nat. Rev. Neurosci. 11, 161 (2010)
*Mechanisms for synaptic transmission and synaptic disorders
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