昼食セミナー

日 時 2013年01月17日 12:20~13:20
場 所 基礎生物学研究所(明大寺地区)1階第1セミナー室 (132)
演 者 小林 憲太 博士(生理学研究所・ウイルスベクター開発室 准教授)
演 題 高頻度逆行性遺伝子導入ベクターの開発と脳機能解析への応用
要 旨

ウイルスベクターは、遺伝子導入を行うための非常に有用なツールである。中でも、レンチウイルスベクターは、1)分裂細胞のみならず非分裂細胞にも遺伝子発現の誘導が可能、2)導入遺伝子が染色体に組み込まれるため遺伝子発現が長期的に安定、3)エンベロープを置換したシュードタイプのベクターを作製することによって宿主域を変更出来る、などの利点を有する。脳機能は複雑な神経回路網によって制御されており、その機能を解明するには、特定の神経路が持つ役割を理解しなければならない。そのためには、特定神経路に導入遺伝子を発現誘導出来る新たな技術を開発する必要がある。最近、我々は、げっ歯類と霊長類の中枢神経系において、軸索の末端より感染して細胞体へと逆行性に輸送されてから導入遺伝子を発現する改良型レンチウイルスベクター(高頻度逆行性遺伝子導入ベクター)の開発に成功した。この高頻度逆行性遺伝子導入ベクターを利用することにより、ある任意の神経領域に投射する特定神経路の解析が可能となる。本セミナーでは、脳科学研究のために有用なツールとなりうる高頻度逆行性遺伝子導入ベクターについて解説すると共に、実際にこのベクターをin vivoで応用した研究例を紹介する。

連絡先 深田 優子(生体膜研究部門#5873)