所長招聘セミナー

日 時 2013年01月23日 14:00~15:00
場 所 山手3号館2階西大会議室
演 者 西田基宏 先生(九州大学大学院薬学研究院 創薬育薬産学官連携分野)
演 題 心不全誘導に関わるシグナル分子群とその心循環機能制御
要 旨

様々なストレスに対する心血管組織の形態変化(リモデリング)は心循環恒常性を維持する上で重要な役割を果たしている.しかし,負荷が持続することで生じる不適切なリモデリングは,かえって心血管機能を悪化させる原因となる.我々は,心臓の興奮転写連関を担うCa2+流入に着目し,ジアシルグリセロール感受性transient receptor potential canonical (TRPC)チャネル (TRPC3とTRPC6のヘテロ4量体)が心肥大誘発性のCa2+流入を制御する分子実体であることを報告した.また,心肥大から心不全への移行において,一酸化窒素と活性酸素,細胞内ヌクレオチドとの反応により生じる2次酸化物(8-nitro-cGMP)の形成が関与することも明らかにし,特に活性酸素の生成にTRPC3が関与することも最近見出している.本セミナーでは,外的ストレスに対する心臓の適応・不適応のシグナル変換機構を紹介し,その仲介分子であるTRPC3/6による心循環恒常性の維持機構について考察したい.

連絡先 鍋倉淳一(生体恒常発達機構研究部門 内線7851)