所長招聘セミナー
日 時 | 2013年02月01日 13:00~14:00 |
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場 所 | 山手3号館2階西大会議室 |
演 者 | 廣田 毅 先生(カリフォルニア大学サンディエゴ校 生物科学部門) |
演 題 | 低分子化合物のハイスループットスクリーニングを用いた概日時計機構の研究 |
要 旨 | 概日時計は脳や体の個々の細胞に備わり、行動やホルモン分泌、代謝などに見られる約一日の周期のリズムを制御する。ヒト培養細胞が示す概日リズムをルシフェラーゼレポーターを用いてハイスループットで測定する系を構築し、概日時計を調節する因子の大規模な探索を実現した。ゲノムワイドRNAiスクリーニングから、時計の周期や振幅を調節する200以上の遺伝子を同定した [1]。さらに60万種類 を超える低分子化合物の中から、時計の周期を強力に延長させる3種類の化合物を見出し、longdaysin、LH846、およびKL001と名付けた。LongdaysinとLH846はカゼインキナーゼIの活性を阻害して時計タンパク質PERの安定化を導くのに対し、KL001は時計タンパク質CRYに結合してユビキチン化を介した分解を阻害した。Longdaysinはマウス視交叉上核の組織培養やゼブラフィッシュの個体においても顕著な周期延長効果を示す一方 [2]、KL001はマウス初 代培養肝細胞において糖新生を抑制した [3]。これらの化合物は概日時計の分子機構だけでなく、個体レベルの行動・生理リズムの研究にも新たな可能性をもたらすと期待できる。 引用文献 |
連絡先 | 鍋倉淳一(生体恒常発達機構研究部門 内線7851) |