部門公開セミナー

日 時 2013年10月04日 15:00~16:00
場 所 生理研明大寺地区1階会議室
演 者 塚元鉄二先生(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)
演 題 MRイメージング技術の発展と神経科学への応用
要 旨

核磁気共鳴現象に基づくイメージング原理が1970年代初頭に報告されて以降、MR 装置は急速な発展を遂げてきた。その主な理由は、CT装置のようにX線被ばくを 伴うことのない安全性が第一に挙げられるが、さらに、生体情報を反映した様々 な画像を撮像できるという特徴にある。臓器別に多様な撮像法が開発されている が、MRイメージングの中枢神経系への主な応用例としては拡散強調撮像法があ る。早期脳虚血検出といった臨床応用に留まらず、神経科学分野においても異な る領野の連関を研究するツールとして確立されつつある。 しかし、神経科学に最もインパクトを与えた手法は、Ogawa et. al.による機能 的磁気共鳴撮像法(functional MRI: fMRI)であろう。初期にBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)法と呼ばれたこの手法により、脳機能イメージ ングが大いに発展した。開発初期の単純な課題による感覚・運動系の研究から、 快・不快といった情動や社会的行動を決定するメカニズムを対象としたfMRI研究 が近年注目されている。 ここではMR技術の歴史、特にfMRIを用いた脳機能イメージングの発展を中心に、 今後の動向について説明する。

連絡先 定藤規弘(心理生理学研究部門 内線7841)