部門公開セミナー

日 時 2013年10月04日 16:00~17:00
場 所 生理研明大寺地区1階会議室
演 者 福永雅喜特任助教(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
演 題 超高磁場MRIでみる脳の微細構造
要 旨

MRIによる生体構造の観察は、装置要因としての空間分解能、信号雑音比(SNR) とともに、組織パラメータである緩和時間およびコントラストに依存する。一 方、磁場強度の上昇は、SNRの上昇に加え、磁気共鳴の物理パラメータである共 鳴周波数の上昇をもたらし、信号の位相分散やシフトが顕著となる。我々は、こ れらに鋭敏な測定手法を超高磁場MRIにて開発し、従来とは一線を画す組織コン トラストを達成した。これまで感度面から困難であった高空間分解能画像も実用 的となり、白質・灰白質間のコントラスト改善のみならず、各分画内の微細構造 を描出するコントラストバリエーションを捉えることが可能となった。特に大脳 皮質では、ヒト in vivo 測定において層状構造が検出され、そのコントラスト は皮質内の鉄に由来し、ミエリンと非常に高い相関を持って共在することを、剖 検脳による MRI と histology から検証した。これは、白質、灰白質に画一的な コントラストを求める従来のMRIからのパラダイムシフトをもたらし、個体レベ ルでの脳構造・機能連関の理解に繋がると期待している。

連絡先 定藤規弘(心理生理学研究部門 内線7841)