部門公開セミナー

日 時 2014年01月28日 17:00~18:00
場 所 生理研明大寺地区1階大会議室
演 者 和氣 弘明 先生(基礎生物学研究所 独立行政法人科学技術振興機構 さきがけ)
演 題 グリア細胞による中枢神経系恒常性維持機構の解明
要 旨

近年、光学イメージング技術の発達によりグリア細胞―神経細胞の相互作用を 可視化することが可能になり、その生理的な機能が着目されている。またこれらの生 理機能が破綻した結果として精神・神経疾患を惹き起こすという観点から様々な研究 が進められており、グリア細胞による中枢神経系恒常性維持が脳の高次機能を保つ上 で非常に重要な役割を果たすと考えられている。本セミナーでは中枢神経系において 神経免疫を担うミクログリア細胞および髄鞘化を担うオリゴデンドロサイトに着目 し、この2種類のグリア細胞が生理的な状態で神経回路活動の時間的・空間的制御を する可能性について紹介したい。すなわち、まずミクログリアがその免疫細胞として の機能からシナプス活動をモニターし、発達期及び障害期において貪食することに よってシナプス数を制御し神経回路におけるシナプス活動の空間的な配置を規定して 神経回路活動の空間的制御を行うことを考察する。さらにオリゴデンドロサイトが神 経活動依存性に髄鞘化を行い、神経伝導速度を調節することで神経回路活動の時間的 な制御に関わることを示し、その破綻による精神疾患発症の可能性について言及した い。 

連絡先 鍋倉 淳一 (生体恒常機能研究部門、内線7851)