昼食セミナー

日 時 2014年05月14日 12:10~13:00
場 所 生理研明大寺地区1階セミナー室
演 者 古瀬 幹夫 教授(脳形態解析研究部門)
演 題 上皮細胞シートの漏れを防ぐ分子機構
要 旨

上皮に共通する本質的なはたらきの一つは、バリアとして空間を仕切りなが らその間で選択的な物質輸送を行うことにより、体内の様々な区画に特有の液 性環境を形成、維持し、ひいては高次生命機能を支えることである。上皮がバ リア機能を果たすためには、上皮細胞同士の隙間を介する物質の漏れを防ぐ必 要があり、この重要な役割を担うのが細胞間接着装置タイトジャンクション (以下TJ)である。1963年に電子顕微鏡観察によりTJが初めて報告されて以 来、長らくその分子構築の解明が待たれていたが、生理研におけるTJの膜タン パク質オクルディンの発見を経て、35年後にようやくTJの核心部分を構成する 膜タンパク質クローディンファミリーが同定された。その後のクローディンの 機能解析からTJのバリア機能と傍細胞経路の受動輸送制御の基本的分子基盤、 個体における意義が実験的に明らかにされている。  本セミナーでは、電子顕微鏡形態学と生理学による古典的研究により描かれ たTJ像に対して、クローディンファミリーの機能解析がその分子基盤をどこま で明らかにして、何が未解明の課題であるかを紹介し、本研究領域について理 解を深めていただく。

連絡先 村田和義(形態情報解析室 #7872 or #5273)