所長招聘セミナー

日 時 2014年06月05日 11:00~12:00
場 所 生理学研究所(明大寺)1F 大会議室
演 者 宮田 麻理子 教授(東京女子医科大学 医学部 第一生理 )
演 題 視床神経回路の発達とその維持
要 旨

本セミナーは日本語で行われます。

神経系では発達初期に一旦過剰なシナプスが形成され、経験依存的あるいは非 依存的に必要なものは強化され、不必要なものは弱化しやがて除去されて、結果 的に成熟した精巧な神経回路網が形成される。また、完成された回路が経験依存 的に維持される期間があることも近年明らかになってきた。視床シナプスの神経 回路においても同様のシナプス除去が生じる事が知られている。感覚視床の投射 ニューロンへ入力する上行性線維シナプスは発達のごく初期に過剰なシナプスを 形成した後、生後第二週目からシナプス除去が生じる。しかしながら、このシナ プス除去の機能的意義は十分明らかになっていなかった。即ち、シナプス除去に おいて、どのような感覚情報が残存し、どのような情報が除去されるかといった 質的な意味づけが不明であった。そこで、我々は顔面の触感覚の視床核(VPm) に入力する上行性線維に体部位情報を蛍光ラベルしたマウスを用いることによっ て、シナプス除去が発達期の体部位情報の先鋭化に必要であることを明らかにし たので、今回紹介する。また、最近、網膜から視覚視床核(dLGN)へのシナプス 維持に代謝型グルタミン受容体1型の関与する知見を得たので紹介し、一緒に議 論したい。

連絡先 井本敬二