部門公開セミナー

日 時 2014年07月03日 09:00~
場 所 生理研明大寺地区1階大会議室
演 者 江藤 圭 (Dr. Kei Eto )(Department of Pharmacology, University of North Carolina at Chapel Hill)
演 題 大脳皮質入力依存性神経回路再編成の機序の解明
要 旨

大脳皮質神経回路は発達期や病態時に再編成することで、その機能を変化させる。そのため、大脳皮質神経回路再編成の機序を理解することは、生理学的にも病態生理学的にも重要である。そこで、2つの入力依存性神経回路再編モデルを用い、大脳皮質神経回路再編成とその機序に関する研究を行った。
まず、過剰入力神経回路再編成モデルの慢性疼痛に着目した。慢性疼痛は、末梢からの過剰入力による中枢神経系の可塑的変化により起きる。このモデルを用いて調べた、一次体性感覚野の興奮性神経回路の可塑的変化、抑制性細胞よる興奮性細胞活動制御機構、および、アストロサイト活動変化について紹介する。
次に、神経回路再編成を誘導する因子としてシナプス形成やシナプス可塑性に関与するアストロサイトに着目した。アストロサイトの神経回路再編成における役割を調べるために、神経回路再編成モデルとして視覚野の片眼遮蔽モデルを用いた研究を行った。視覚野において、幼弱期では片眼遮蔽により神経回路再編成が起きるが、大人では再編成が起きにくくなる。そこで、細胞特異的に刺激する方法を用いた視覚野アストロサイトの慢性刺激が、大人視覚野における片眼遮蔽神経回路再編成を誘導するかどうか検討した。本セミナーでは、この結果について報告するとともに、アストロサイトが神経回路再編成を誘導する機序に関する研究計画についても紹介する。

連絡先 鍋倉 淳一 (生体恒常機能研究部門、内線7851)