部門公開セミナー

日 時 2014年12月10日 17:00~18:00
場 所 生理研(明大寺) 1階 大会議室
演 者 稲垣未来男(大阪大学大学院 生命機能研究科)
演 題 MT野細胞の3次元周波数受容野の測定
要 旨

サルの大脳皮質において背側視覚経路に属するMT野の神経細胞は、運動刺激に対 して強い反応を示す。運動刺激の空間周波数や時間周波数を変化 させると反応 強度も変化することから、MT野細胞の性質は、2つの空間周波数(fx, fy)と時 間周波数(ft)で構成される3次元周波数空間上で記述する必要がある。本研究 では、限られた計測時間でMT野細胞の3次元周波数受容野を測定 するため、新規 に視覚刺激を作成して実験を行った。視覚刺激は独立した運動する正弦波縞を6 つ重ね合わせたもので、各正弦波縞の時間、空間周 波数は250ミリ秒ごとに別の 値に切り替わるようにした。通常は1つの正弦波縞だけを呈示するが6つを同時 に呈示することで計測時間の短縮を 試みた。鎮痛不動化したアカゲザルのMT野 から細胞外電位記録を行い、この視覚刺激に対する細胞のスパイク列に対して逆 相関法を適用して3次 元周波数受容野を測定した。その結果、いくつかのMT野細 胞では、空間周波数(cycles/deg)が高くなると最適時間周波数 (cycles/s) も高くなる傾向が見られた。この結果は空間周波数と時間周波数の比である速さ (deg/s)に対して選択性をもつことを 示唆する。

連絡先 伊佐正(内線 7761)