部門公開セミナー

日 時 2014年12月17日 16:00~
場 所 生理研明大寺地区1階大会議室(Myodaiji, 1F conference room)
演 者 石井 優 教授(Dr. Masaru Ishii )(大阪大学大学院医学系研究科・医学部・感染免疫学講座/生 命機能研究科・個体機能学講座 免疫細胞生理学)
演 題 蛍光生体イメージングによる「細胞動態学」研究の最前線
要 旨

本セミナーは日本語で行われます。
The lecture will be delivered in Japanese.

生命システムでは「動き」が重要である。多種多様な細胞の動態は時空間的に精緻に コントロールされている。このようなシステムの研究には、従来の組織学的解析法で は不十分であった。固定・薄切した組織観察では、細胞の「形態」や「分子発現」な どを解析することはできるが、細胞の「動き」を解析することはできない。細胞の動 きを見るためには、「生きた細胞」を、「生きた組織」「生きた個体」の中で観察す る必要がある。
本演者は深部組織の観察に適した多光子励起顕微鏡を駆使して、生きた細胞の生きた ままの動きのある世界を捉えることを可能にしてきた。本講演では、演者がこれまで 行ってきた骨髄や免疫組織の生体イメージング研究を中心に紹介し、見ることによっ て初めて分かった様々な免疫細胞の巧妙な動きとその制御機構について解説する。破 骨細胞は炎症によって活性化して骨を破壊・吸収するマクロファージであるが、骨髄 内の血管から出入りしながら「壊すべき場所」を探していた。また、一旦骨に引っ付 いても、骨表面で奇妙な動きをしながら機能を発揮していた。リンパ節で、皮膚で、 肺で、腸内で、脂肪組織で、様々な免疫細胞はそれぞれに特徴ある動きと機能を示し ていた。これら細胞の生きた動きの制御機構は、時間軸をもって生命現象を捉えるこ とが可能な、生体イメージング技術があったからこそ得られた新知見である。

連絡先 鍋倉 淳一 (Junichi Nabekura) (生体恒常機能発達機 構,tel:7851)