部門公開セミナー
日 時 | 2015年02月19日 17:00~18:00 |
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場 所 | 生理研(明大寺) 1階 大会議室 |
演 者 | 江角重行 助教(Dr. Shigeyuki Esumi)(熊本大学大学院生命科学研究部脳回路構造学分野) |
演 題 | 視床下部神経回路発生過程におけるホメオボックス型転因子Dbx1の機能 |
要 旨 | 視床下部は、摂食行動、性行動、攻撃行動、捕食者からの逃避行動など本能行 動や情動行動、社会行動に関与し、様々な領域に投射し神経活動を調節している ことがわかっている (Sokolowski K and Corbin J,2012,Front Mol Neurosci)。しかしながら、これらの行動を司る神経核の発生、発達機構は未だ わかっていない。ホメオボックス型転写因子Dbx1 (developing brain homeobox 1)は、終脳発生過程で一過的(E9.5-E12.5)に発現することは知られていたが、扁 桃体や視床下部における神経核や回路形成における機能不明であった。そこで、 我々はDbx1が視床下部における神経回路の形成に寄与すると考え、Dbx1 を視床 下部領域でのみ欠損するコンディショナルノックアウトマウスを作成し、「成体 の行動レベル」、「成体の組織レベル」、「胎仔脳の発生レベル」で詳細に解析 を行った。その結果、成体マウスにおいて摂食異常が認められ、さらに、嗅覚系 は正常であるにもかかわらず、捕食者の臭いに対する逃避行動が低下しているこ とが明らかになった。このマウスを組織レベルで解析すると、摂食に関係する外 側視床下部や弓状核において摂食に関連するペプチド陽性の神経細胞の減少が認 められた。異常が認められた視床下部の領域の発生段階においてもマーカーとな る遺伝子の発現変化が認められることから、視床下部で一過的に発現するDbx1は 摂食やストレス反応に関与する神経群の発生発達過程に関与していることが明ら かになった。 |
連絡先 | 鍋倉 淳一 (Junichi Nabekura) (生体恒常機能発達機構,tel:7851) |