昼食セミナー

日 時 2015年02月05日 12:10~13:00
場 所 山手地区3号館2階共通セミナー室
演 者 深田優子 准教授(生体膜研究部門)
演 題 超解像可視化によるポストシナプス膜ナノドメインの発見
要 旨

AMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)は脳内の興奮性シナプス伝達の大部 分を担うので、その神経活動依存的なポストシナプス膜PSDへの動的移動は、 脳の可塑的性質の根幹をなすと考えられる。PSD-95はAMPA受容体をPSDにアン カリング(捕捉)する主要な足場蛋白質であることから、PSDにおける足場蛋 白質PSD-95の数や機能を時・空間的に制御する分子機構は、PSDのAMPA受容体 捕捉量に直結する。これまでに私共はPSD-95のシナプス局在を担うパルミトイ ル化脂質修飾酵素DHHC2を発見し、その性状解析を進めてきた。また、パルミ トイル化PSD-95を特異的に認識する組換え抗体プローブを開発し、STED超解像 顕微鏡と組み合わせて、PSD内部にパルミトイル化PSD-95が形成するサブドメ イン構造(PSDナノドメイン)を発見した。このナノドメインはPSD構築の基本単 位と考えられ、各ナノドメインがそれぞれAMPA受容体の捕捉単位となっている ことを見出した。さらに、PSD-95は、樹状突起スパイン内局所でパルミトイル 化-脱パルミトイル化状態間をサイクルすることを見出した。シナプス局所で パルミトイル化サイクルのオン・オフや速度を制御する機構が、ナノドメイン のサイズと数を規定し、神経活動依存的なPSDの再構築を可能にすると考えら れる。今後は、シナプス可塑性やシナプス病態に伴うナノドメインの構造的 (サイズ・数)および質的(AMPA受容体捕捉量)変化を明らかにし、AMPA受容体 シナプス伝達の本質的な制御機構を解明する。

連絡先 村田和義(形態情報解析室 #7872 or #5273)