部門公開セミナー

日 時 2015年03月19日 14:00~
場 所 生理研明大寺地区1階大会議室(Myodaiji, 1F conference room)
演 者 佐々木拓哉 助教(Dr. Takuya Sasaki)(東京大学大学院薬学系研究科)
演 題 Working memoryを司る海馬-歯状回ネットワークの神経機構
要 旨

演者の佐々木拓哉先生グリア細胞の研究でこれまで数多くのすばらしいご研究を発表されております。今回は海馬-歯状回ネットワークの神経機構 についてご発表いただきます。
本セミナーは日本語で行われます。
The lecture will be delivered in Japanese.

内側側頭葉に位置する海馬および歯状回は、working memory(作業記憶)において重要な役割を果たす。しかし、その詳細な神経活動については明らかになっていない。本研究では、八方迷路を用いたワーキングメモリ課題中のラットにおいて、歯状回と海馬CA3野の神経活動をマルチユニット計測法(テトロード電極12本)により記録した。報酬時には、歯状回顆粒細胞の発火頻度および海馬CA3野のシャープウェーブリップル波の頻度が増加した。また、歯状回の選択的破壊により、課題成績が有意に低下し、CA3野において報酬に関連したシャープウェーブリップル波が消失した。この脳波中には海馬場所細胞の前向き活動が再生され、この活動が行動成績と相関し、さらに歯状回破壊によって減少することが明らかになった。すなわちワーキングメモリ課題中には、シャープウェーブリップル波に誘発された神経活動が将来の行動を表象しており、この形成には歯状回-海馬CA3野の神経回路が重要な役割を果たすことが示唆された。

連絡先 鍋倉 淳一 (Junichi Nabekura) (生体恒常機能発達機構,tel:7851)