日本語ピッチアクセントと音韻認知に関する一検討

林良子* **・今泉敏*・上野照剛*・森浩一**

*東京大学大学院医学系研究科 **国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所

 日本語ピッチアクセントが単語認知に果たす役割について、音韻処理過程と比較することで、脳磁図計測により検討した。プライムとして聴覚呈示されるなぞなぞ文の後に、2モーラ語の正答、アクセント型が不適切な答、音韻の不適切な答を呈示した場合について、N400電流双極子の潜時、モーメント、電流源推定部位を解析した。その結果、脳磁波形上では、3群で異なった波形が左右側頭部で観察された。N400成分では、音韻の間違った答でより多くの被験者から電流双極子を推定することができたものの、アクセント型不適切群と潜時、モーメントの有意な差異は見られなかった。電流源は、両群とも左右上側頭回、縁上回付近に推定された。これらの結果から、単語の意味的認知という観点では、アクセント型、音韻ともに等価の役割を果たしていると考えられるが、意味処理に至る過程には両者間に差異があることが示唆された。>

発表形式: パソコン 
希望発表時間: 20分