ニオイの脳磁図計測−オドボール実験、並びにsniffing実験について−
電子技術総合研究所 大阪ライフエレクトロニクス研究センター
外池光雄、浜田隆史、山口雅彦、岩木 直
近畿大学理工学部原子炉工学科 嘉悦 勲
我々は122チャンネル全頭型脳磁計(Neuromagー122)を用いて嗅覚刺激に対する脳磁場計測を行い、人間の嗅覚機能の解析に関する研究を実施している。我々はこれまでに、嗅覚誘発電位計測で行ってきたのと同様な呼吸同期式の吹き付け法(blast method)により、一種類のニオイをランダムな提示で被験者の左右どちらかの鼻腔内に注入刺激し、脳磁図応答の記録、脳内の信号源解析を行ってきた。他方、二種類のニオイを用いたオドボール課題実験を新たに実施し、稀に刺激されるターゲットのニオイに被験者が注目し刺激回数を数えた時の脳磁図応答について計測を行ってきた。これらの解析から、現在、ニオイ吹き付けの効果によると推定される三叉神経応答(latency:約270ms)、左右の前頭葉眼窩野のやや非対称な2ケ所の部位に推定される嗅覚神経応答(latency:約350ms)、及びオドボール課題実験により側頭葉の少なくとも2ケ所(上側頭部、及び島皮質周辺)から得られるニオイ認知応答(latency:約570ms)を得ている。一方、最近これらのニオイ刺激法とは異なり、被験者自身がニオイを嗅ぐsniffing法を用いてactive olfactionに対する脳磁図計測の実験を開始した。これまでのニオイ刺激法とその脳内活動部位に対し、sniffing法によるニオイ応答との比較・検討を行い、人間のニオイの知覚・認知機構について考察する。