脳磁場計測によるヒト味覚関連中枢応答特性の解析
高橋佳代(1),永井 元(2),吉村真一(4),山口雅彦(3),外池光雄(3),山本 隆(1)
(1)大阪大 人間科学 行動生理
(2)サントリー(株)商品開発研
(3)電総研 大阪LERC
(4)飛鳥電機製作所
味覚とは,いわゆる化学物質を介する化学感覚であるため,刺激方法を厳密に規定することは難しい.そのため末梢の感覚受容機構のみならず,その中枢応答様式も未だ明らかにされていない. 我々はヒトの中枢における味覚の情報処理機構の解明を目的として,122チャンネル全頭型脳磁計を用いた計測を行った.
味覚刺激としては,基本味である甘味(ショ糖),酸味(クエン酸)を用いた. また,この2つの味質の違いが中枢でどのように知覚されているのかという事を調べる目的で,味覚修飾物質であるミラクリンを含むミラクルフルーツを利用した.ミラクリンには酸味を甘味に変換させる効果があることが知られている.
その結果,クエン酸の応答潜時はショ糖のそれより速く,信号源の推定部位には大きな違いは認められなかった.また,ミラクルフルーツ摂取後のクエン酸刺激による応答はショ糖と近い潜時を示した.なお,1次味覚野以降の応答についても比較し考察したのであわせてその結果も報告する.