格子点移動法のてんかん外科への臨床応用

 

大嶋英之1、高梨芳彰2、岡村昇一3、梶原茂樹3、松本圭吾1、岩本一秀4、峯浦一喜1

1 京都府立医科大学脳神経外科

2 京都府立医科大学神経内科

3 株式会社島津製作所基盤技術研究所

4 大阪鉄道病院神経内科


我々はこれまで電源の広がり、分布を推定できる格子点移動法の有用性をシミュレーション、ファントム実験において確認し、生体での誘発磁場に応用してきた。今回、外科治療を行ったてんかん患者に適応し、ダイポール推定とも比較してその優位点、問題点を考察する。

症例は7歳女児、レノックス-ガストー症候群の患者でしばしば失立発作を起こし受傷していた。術前脳磁図、脳波では速波律動と徐波が見られ、これを経時的に格子点移動法で解析すると、一側の前頭葉から活動が始まり対側に移ったり両側が活動したりし、最終的に徐波の時には両側前頭葉の広い範囲に活動領域が求められた。脳梁離断術を施行し術中の皮質脳波で離断前には左右より同期してspikeが記録されていたが、離断後は左にばかりspikeがみられるようになった。術後脳磁図では格子点移動法で、速波律動のときには左半球ばかりに活動が求められ、右には電源推定されなかった。徐波においては両側に活動が求められた。