Synthetic aperture magnetometry (SAM) を用いたてんかん性異常波の解析
二宮宏智1、谷口理章1、加藤天美1、平田雅之1、丸野元彦1、新居康夫1、
Robinson SE2、吉峰俊樹1
大阪大学医学部脳神経外科1、CTF Systems Inc.2
開口合成法に基づく空間フィルターリングを行うSynthetic aperture magnetometry (SAM) を用い、てんかん性異常波を解析した。難治性てんかん9例において、発作間歇期の脳波上または脳磁図上の棘波をトリガーとして脳磁波を記録した。各症例の頭蓋内の目的とする空間に多数の仮想格子点を設定した (SAM virtual channel)。SAMにより計算された各channelにおける電流密度をグラフおよびカラースケール化し、てんかん性異常波の起始から伝播をsingle dipoleとともに解析した。内側型側頭葉てんかんでは、海馬近傍からの起始と対側への波及、外側型では側頭葉後部からの起始と側頭葉内部への波及が見られた。前頭葉てんかん例では起始部が複雑であることが、また、腫瘍性てんかん例では腫瘍近傍からの起始と周辺脳への波及やmirror focusを見い出すことができた。Single dipoleでは把握し難い、てんかん性異常波の脳内異常活動領域の起始と空間的広がり、およびその時間的推移をSAMで明らかにすることができた。本法はてんかんの病態の解明に大きな役割を果たすと思われる。