四重複合音課題による集中力の誘起した聴性脳場応答解析

 

岩橋正國1,吉田秀樹1,浜田隆史2,山口雅彦2,外池光雄2

1東和大学電気工学科、

2電子技術総合研究所大阪ライフエレクトロニクス研究センター


脳の認識過程は一瞬にして呈示情報の細部に迄及ぶのではなく、情報の輪郭抽出に始まり、時間の経過と共に、より詳細な内容の理解へと進行していくことが考えられる。脳内に局在した電流源が情報処理過程自身であると仮定すれば、より判別の困難な課題はダイポールパターンを自己誘起するはずである。そこで熟考が必要な程、難度は高くないものの、呈示刺激に対して集中せざるを得ない状況下での情報処理過程を評価することにした。本研究では聴性オドボール課題で使用される刺激として四重複合音を使用し、標的刺激は両耳で異なる構成の複合音が呈示された時とした。複合音として呈示された並列情報分析の影響は、後潜時に計測脳磁図の強度を有意に増大させ、両側に持続性のあるダイポールパターンを形成した。電源推定部位はN100源より有意に内側の横側頭回と考えられ、横側頭回から辺縁系へ向かう情報処理の帰還伝搬路の存在が示唆された。