運動による輪郭と立体運動視のMEGによる研究
1吉川健治、1外山敬介、2大谷芳夫、3山本洋紀、3江島義道、5岡村昇一、
5福永雅喜、5田中忠蔵
1京府医大・2生理、2京工繊大・工芸、3京大・人間・環境学、4島津製作所、
5明治鍼灸大・脳外
運動による輪郭の認知は複数の運動により起動される単眼運動立体視の原型と考えられる。5人の正常被検者の右視野にランダムドットの一様(HM)運動と運動による輪郭認知を生じる分割運動(SM)刺激を与え、視覚領野の反応を3次元脳磁計ー空間フィルターシステムで計測した。運動による輪郭認知の信号はSMとHM反応の差分として得られると想定されるが、この差分信号はV2/3でSM反応の後半(潜時、120ms)に生じた。SMに雑音として反対方向の動きを入れると輪郭認知は困難となり、差分信号も減少した。HM刺激に3分順応させた後には輪郭認知は完全に消失し、HMに対するV5の活動は著名に抑制されたが、V1、V2/3の抑制は軽度であった。このとき差分信号は完全に消失した.これらの結果は複数の運動があるとき、単眼運動立体視機構がV5で起動され、その指示信号に基づいてV2/3で単眼運動立体視が行われることを示す。